2013 Fiscal Year Annual Research Report
新しいモデル動物を用いたNASH発症の分子機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular Basis and Disorders of Control of Apetite and Fat Accumulation |
Project/Area Number |
25126705
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
菅波 孝祥 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 寄附講座教授 (50343752)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 非アルコール性脂肪性肝炎 / 慢性炎症 / 線維化 / マクロファージ |
Research Abstract |
我々が確立した新しいNASH・肝細胞癌モデルを用いて、肝線維化の分子機構を検討した。 MC4R欠損マウスに高脂肪食を負荷して経時的に解析したところ、負荷8週目よりαSMA陽性活性化線維芽細胞が出現し、負荷20週において肝線維化の顕在化が認められた。我々は、NASHを発症したMC4R欠損マウスの肝臓において、細胞死に陥った肝細胞をマクロファージが取り囲み、貪食・処理する特徴的な組織学的構造を見出した(肝臓CLS:肝臓crown-like structure)。肝臓CLSは、αSMA陽性細胞の出現に先立って、高脂肪食負荷4週目から徐々に増加した。免疫染色により、肝臓CLSはCD11c陽性マクロファージにより構成され、他の肝局所マクロファージとは区別されることを明らかにした。さらに、肝臓CLSの近傍にはαSMA陽性筋線維芽細胞やコラーゲンの沈着が認められ、線維化との関連が示唆された。 肝臓CLSの機能的意義を明らかにする目的で、クロドロネートリポソーム法によりマクロファージを消去したところ、単純性脂肪肝を呈する野生型マウスではマクロファージが効率的に消失し、炎症・線維化マーカーの発現が低下した。一方、NASHを発症したMC4R欠損マウスでは肝臓CLS選択的にマクロファージが残存し、炎症・線維化マーカーの発現に変化がなかった。以上より、肝臓CLSはNASHの病勢を反映する病理組織マーカーであると考えられ、炎症・線維化の中心として単純性脂肪肝から肝線維化への進展に重要な役割を果たすことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肝臓CLSの詳細な病理組織学的検討により、単純性脂肪肝からNASH発症の鍵となる病態を明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、肝臓CLSの分子機構を明らかにすることにより、NASH発症機構の解明や新規バイオマーカーの同定に繋がると期待できる。また、MC4R欠損マウスを用いた薬効評価の検討も行う。
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Research Products
(5 results)