2013 Fiscal Year Annual Research Report
3階層(分子・細胞・細胞集団)の力学環境をそれぞれ人為的制御する技術の開発と応用
Publicly Offered Research
Project Area | From molecules, cells to organs : trans-hierarchical logic for higher-order pattern and structures |
Project/Area Number |
25127702
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
出口 真次 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30379713)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | メカノバイオロジー / 細胞バイオメカニクス / マイクロパターン / トラクションフォース / traction force / トラクションフォースマイクロスコピー |
Research Abstract |
マイクロパターニング技術を利用してヒト骨肉腫U2OS細胞の形態を人為的に調節することにより、細胞接着斑の位置、およびその構成タンパク質のリン酸化修飾が特定の位置に局在化できることを確認した。細胞接着斑タンパク質のうち、FAK(pY397, 576, 925), cas(pY165, 410), paxillin(pY118)の3つのタンパク質に注目して、細胞内発生張力の抑制剤を与えたときのそれぞれのチロシンリン酸化の変化を免疫染色により調べた。ブレビスタチンを用いてミオシンによるATP加水分解のADP放出を抑制した結果、張力が減少し、リン酸化レベルに変化が見られた。特にpaxillinのpY118ではリン酸化レベルが上昇した。これはウエスタンブロットによる、細胞の平均的挙動を調べる実験においても同様の傾向が得られた。その他のリン酸化は概ね減少することが観察された。このように、通常細胞内においてランダムに起こるpaxillinなどのリン酸化が、本技術を用いて特定の位置で張力依存的に調節できることを実証した。さらに、マイクロ・ナノ混在パターニング技術を用いて細胞接着斑の極性と、その細胞自身の極性(長手方向の位置)を人為的に異なるように配置させると、コントロール(細胞接着斑と細胞の極性が一致する場合)と比べて、paxillinのpY118リン酸化が進むことがわかった。つまり、前記の実験結果から、極性を人為的に逆にすると同じ培養条件であっても張力が減少することがわかった。このように、パターニング技術によって張力依存的に細胞接着斑タンパク質の局在やリン酸化を調節できることは、生体内では細胞が置かれた力学環境に依存してこれらの分子機能を調節していることを示唆する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画していたマイクロパターニングの高精度化、および細胞接着斑の局在やリン酸化に及ぼす(非筋II型ミオシン由来の)内因性の力の影響は既に詳細に調べた。その派生的な実験において、当技術を応用して細胞が発生する張力を詳細に観察できる新しい方法を考案するに至った。これは従来の張力観察方法に比べて大きなメリットがあり、当初期待していた以上の成果につながる技術であると考え、さらに研究を進めている。ただし当初予定していた生体親和性ゲルによるパターンの三次元化は、前記の技術開発に時間を割かれたために計画より後れており、次年度に集中的に取り組む予定である
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Strategy for Future Research Activity |
マイクロパターニング技術を基礎とした派生的な技術として、細胞が発生する張力を観察する技術を考案するに至った。当初の予定が順調に進んでいることから、次年度は元々の計画の残りを遂行することに加えて、当技術のさらなる発展に時間をかける予定である。
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Research Products
(14 results)
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[Journal Article] Development of motorized plasma lithography for cell patterning2014
Author(s)
Deguchi, S., Nagasawa, Y., Saito, A.C., Matsui, T.S., Yokoyama, S., Sato, M.
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Journal Title
Biotechnology Letters
Volume: 36
Pages: 507-513
DOI
Peer Reviewed
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