2013 Fiscal Year Annual Research Report
成長点の体内時計が自発形成する脱同期パターンの物理特性と生理機能の解明
Publicly Offered Research
Project Area | From molecules, cells to organs : trans-hierarchical logic for higher-order pattern and structures |
Project/Area Number |
25127714
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
福田 弘和 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90405358)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 生体リズム / 発生学 / 植物生理学 / 非線形力学 |
Research Abstract |
胚や成長点における「体内時計」の振舞いは、発生学における未解決課題の一つである。本研究では、無限成長する植物の根の成長点に着目し、この問題の解決に挑戦する。興味深いことに、根の成長点では体内時計は強くリセットされており、それによって根全体が脱同期する。しかもその脱同期パターンと根の形態形成には明確な関係があることが分かっている。本研究では、一般に有害とされる「体内時計の脱同期現象」を取り上げることで、生物における秩序形成の新たな基本法則を探ることを目的としている。具体的な研究内容として、植物の根における2階層の脱同期パターンに着目し、器官形成に強く作用する植物ホルモン「ストリゴラクトン」を用いた実験と、位相振動子モデルなどを用いた理論研究の双方から、「体内時計の脱同期パターンの物理的特性の解明」と「脱同期パターンの生理機能の解明」を行う。 本年度は、脱同期パターンの「物理特性の解明」と「器官成長力との関係性」の解明を目指した。成長制御植物ホルモン「ストリゴラクトン(SL)」を利用した成長力の制御、時計遺伝子発現レポーター導入シロイヌナズナを用いた細胞レベルの概日リズムの計測、高解像度の動画解析、数理モデルと数値シミュレーション、理論予測の検証と数理モデルの改良、を行った。具体的には、SL による成長力の制御の実験システム構築の準備、脱同期パターンの高精度計測の準備を行った。特に、①ルシフェラーゼ(LUC)発光による時計遺伝子CCA1 発現の時空間パターン解析、②時空プロット作成、位相・振幅解析、ゆらぎ解析などによる物理特性の定量化を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画書に従い、順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に従い、下記を実施する。 成長力と脱同期パターンの数理モデル化:①構築済みの数理モデルに「成長力の項」を導入する。②数値シミュレーションによるパラメータ探索。パラメータとして、細胞間の結合力K、リセット効果の強度C、成長速度(成長力)vR を調節する。 理論予測の検証と数理モデルの改良:①数理モデルを用いて、最もシンギュラリティが発生する(しない)成長力を予測する。②理論予測を、実験系を用いて検証し、その結果を用いて数理モデルを改良する。
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