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2013 Fiscal Year Annual Research Report

運動性シアノバクテリア集団の細胞間相互作用と動的パターン形成

Publicly Offered Research

Project AreaFrom molecules, cells to organs : trans-hierarchical logic for higher-order pattern and structures
Project/Area Number 25127717
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)

Research InstitutionWaseda University

Principal Investigator

高松 敦子  早稲田大学, 理工学術院, 教授 (20322670)

Project Period (FY) 2013-04-01 – 2015-03-31
Keywords群れ / 細胞集団 / シアノバクテリア / 数理モデル
Research Abstract

本研究は運動性シアのバクテリアが形成する多様で動的なコロニー形成のメカニズムについて、理論・実験両側面から明らかにすることを目的としている。2年間のプロジェクトの中でH25年度は(1)相互作用の実態の解明および定量解析, (2)数理モデルによるアプローチへの着手であったが、本年度は主に(1)に取り組んだ。
(1) 相互作用の実態の解明および定量解析
運動性シアノバクテリアPseudanabaena sp.は個体単体よりも集合している場合の方が運動速度が大きいことがこれまでに確かめられていた。運動能が向上するのは、シアノバクテリアが分泌する物質が関与すると予測された。本研究で用いているPseudanabaena sp.が分泌する粘液の実態を明らかにするため、ムコ多糖類染色剤であるAlcian blueにて染色を試みた。その結果、その存在が確かめられ、並進運動する彗星状コロニーが通過した後方に主に分布することがわかった。当初、回転運動する円盤状コロニーも含めた運動性コロニーの周辺に厚く分布するものと予想していたが、彗星状コロニーの進行方向先端や、円盤状コロニーの極近傍では、コロニー自身の運動によって粘液が分断されて厚みを保持しないことがわかった。
次に、円盤状コロニー内の流体解析の手法を用いて運動解析を行った。その結果、円盤の周辺に何かしらの流体が存在し回転運動に対して培地との緩衝剤の役割を果たしていることが推察された。しかし粘液は円盤の極近傍(多くて10μmの厚さ)にしかないことがAlcian染色によって確かめられているので、培地からしみ出した水が緩衝剤の役割を果たしていることが推察される。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

研究課題(1)の相互作用の実態の解明については、個体間相互作用の様態解析までが目標であった。動画撮影により、鎖状の個体間が引き合う様子を集中的に撮影し、近傍で遭遇した場合には急激に引き合う現象が撮影された。このことから、個体間には引力が存在することが観察により強く示唆されたが、引力が働く距離、個体間の衝突速度、衝突角度との関係について定量的な解析が完了し何らかの結論が出るには至らなかった。この解析が遅れたのは、実は、この引力による運動は当初予想されていたよりも非常に速く、これまで撮影したタイムラプスビデオの撮影間隔では不十分であることがわかり、再び撮影し直す必要に迫られたためである。次年度は引き続きこの解析を撮影間隔を適度に調整して再度精度を挙げて解析を行う予定である。
研究課題(2)の数理モデルによるアプローチへの着手であるが、上述のように引力の実態について不明点が多く、モデルへの導入に至らなかった。

Strategy for Future Research Activity

(1) 相互作用の実態解明と定量解析
H25年度では、円盤状コロニーと場との相互作用について考察した。H26年度は彗星状コロニーと場との相互作用および、シアノバクテリア個体間の相互作用の実態解明と、次の項目である数理解析に導入可能な定量的解析を行う予定である。前項でも述べたが、個体間相互作用にはこれまで想定していなかった粘液以外の装置による引力が働いている可能性が出て来た。一般的な粘液細菌ではピリ線毛と呼ばれる繊維状の構造が、細菌と場との相互作用を生成し、運動装置となっていることが最近報告されている。粘液以外にもこのような装置も視野に入れ、運動の解析とできれば運動装置の実態を明らかにしたい。
(2) 数理モデルによるアプローチ
(1)で定量化される場との相互作用様式、細胞間のそいご作用様式を数理モデルに取り入れ、シアノバクテリア集団のつくる多様で動的なコロニー形成について解析することを目指す。H25年度に予想外の相互作用様式であるピリ線毛が候補としてあがって来たので、ピリ線毛を仮定した場合に、(1)で観察された現象が理論的にある得るのかを検証する予定である。また、このような相互作用があった場合に、マクロなコロニー形成にどのような影響を与えるかも調べる予定である。

URL: 

Published: 2015-05-28  

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