2013 Fiscal Year Annual Research Report
性的二型と闘争・求愛行動の進化
Publicly Offered Research
Project Area | Genetic bases for the evolution of complex adaptive traits |
Project/Area Number |
25128702
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松尾 隆嗣 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (70301223)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 行動進化 / 形態進化 / 性選択 / ショウジョウバエ |
Research Abstract |
発現変動遺伝子の解析 前年度までに、成虫の脳内で発現する遺伝子の種間比較を行ったが、転写物の種間での対応付けに用いた方法に改善の余地があった。そこで、オルソログの対応付けにOrthoDB7を用いて新たにリードカウントのやり直しを行った。また、DEGの検出にiDEGESを用いた。その結果、発現変動の認められる遺伝子の数は以前の方法に比べて増加した。 突然変異体のスクリーニング ENUによる突然変異体の作成とスクリーニングを500系統行った。その結果、複眼色の突然変異体(vermilion)を得た。これは、オス間の精子競争に関する実験などでマーカーとして用いることができ、今後の研究遂行のために有用であると考えられる。 CRISPR/Cas9による遺伝子ノックアウト TALENを用いるとしていた計画を修正し、CRISPR/Cas9を用いることにした。初期胚へのRNA溶液注入の方法を最適化し、まずwhite遺伝子をターゲットに実験を行っている。遺伝子ノックアウトが成功したかどうかについては現時点ではまだわかっておらず、次年度も継続して実験を行う。 闘争行動の解析 定量的な行動解析を行い、近縁種3種(D. kurseongensis、D. rhopaloa、およびKB866)と比較して、D. prolongataだけが例外的に闘争性が高いことを確認した。一方、闘争行動に含まれる要素(動作)およびその出現順序は、いずれの種においてもキイロショウジョウバエで報告されているものと同様であった。これは、行動のプログラム自体は種間で保存されており、行動遷移における閾値の変化など比較的単純なメカニズムで闘争性が亢進している可能性を示唆している。 単一メス由来系統群の解析 単一メス由来系統群を用いて闘争行動と求愛行動を定量的に解析したところ、顕著な系統間差を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
用いる実験手法について若干の変更は行ったものの、予定した作業を遂行できている。
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Strategy for Future Research Activity |
CRISPR/Cas9によるゲノム編集 今年度から継続して、次年度もwhite遺伝子をターゲットとした実験を継続する。これに成功した場合、キイロショウジョウバエで闘争性を制御することが明らかにされた遺伝子について破壊した突然変異系統の作成を試みるなどして、闘争性の進化の遺伝的基盤を明らかにしていく。 piggyBac+attPによる遺伝子導入系の確立 行動進化の神経基盤を解析するために、温度感受性チャネルを神経特異的に発現させる実験手法を用いたい。そのためには、遺伝子導入系を確立することが必要である。ファージ由来の組換え酵素を用いたシステムにより、キイロショウジョウバエで用いられているベクターコンストラクトがそのままD. prolontagaでも使えるようにすることが望まれる。
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Research Products
(2 results)