2013 Fiscal Year Annual Research Report
エキソーム解析における難読領域を標的とする解読法の開発
Publicly Offered Research
Project Area | Personal genome-based initiatives toward understanding bran diseases |
Project/Area Number |
25129706
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
工藤 純 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (80178003)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ゲノム / 遺伝子 / エキソーム / 次世代シーケンサー / バイオテクノロジー |
Research Abstract |
本研究ではエキソーム解析における難読領域を対象として、その解読技術の開発を目指した。SureSelectを用いて得られたエキソーム解析の難読領域計1.8Mbのうちの1.1Mbは、そもそもベイトが作成されていない重複遺伝子配列であったが、コピー数が多い遺伝子は疾患の原因とはなり難いと考えられ、またインフォマティクスによる解決が必要であることから、今回は対象外とした。それ以外の724kbからなる難読領域の多くはGC含量が高い配列であった。この難読領域を解読するために従来のエキソーム解析法の改良ではなくて、HaloPlexターゲットエンリッチメントシステムによる難読領域の増幅と解読を試みた。前年度に作製したHaloPlexのプローブライブラリー(57nt以上の長さの難読領域計497kb/3,845カ所を対象とした)を用いて全ゲノムDNAから標的領域のみを増幅し、回収したDNA断片を次世代シーケンサーMiSeqで平均カバレッジ178倍で解読したところ、標的領域約482kbの約73%が10倍以上の厚みで解読できた。平成25年度は、ターゲット領域を拡大し、約724kb/19,715カ所全体を標的としたところ約709kb(97.96%)の標的領域を計63,886個のAmplicon(シーケンス長計4.7Mb)として増幅するHaloPlexプローブライブラリーが作成できた。この拡大ライブラリーを用いて全ゲノムDNAから標的領域のDNAを増幅し、回収したDNA断片を次世代シーケンサーで平均カバレッジ256倍で解読したところ、709kbの標的領域のうち83.6%(593kb)について10倍以上の厚みで解読に成功した。これにより、エキソーム解析の大部分を解読することが可能になった。今後は、さらにMultiPlex-PCRを併用して、これまでに解読できていない領域の増幅と解読を試みる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HaloPlexターゲットエンリッチメントシステムの標的領域を拡大して、エキソーム解析の難読領域約724kb/19,715カ所全体を標的としたところ約709kb(97.96%)の標的領域を計63,886個のAmplicon(シーケンス長計4.7Mb)として増幅するHaloPlexプローブライブラリーが作成できた。 この拡大ライブラリーを用いて全ゲノムDNAから標的領域のDNAを増幅し、回収したDNA断片を次世代シーケンサーで平均カバレッジ256倍で解読したところ、709kbの標的領域のうち83.6%(593kb)について10倍以上の厚みで解読に成功した。 すなわち、HaloPlex法の併用のみで、エキソーム解析の難読領域の8割が解読できたことになり、エキソーム解析の弱点を補うという意味では、ほぼ目的は達成できたと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)HaloPlexターゲットエンリッチメントシステムによる難読領域の増幅と解読 平成25年度に作成したHaloPlexのプローブライブラリー(2nt以上の長さの難読領域計709kbを対象とした)を用いて増幅し、回収したDNA断片のシーケンシングの結果から、GCリッチの標的領域のうち83.6%について、解読に成功した。さらに実験条件を検討し、各条件で増幅回収できた配列を次世代シーケンサーMiSeqを用いて評価することにより、HaloPlex法の最適条件を決定する。また、HaloPlex法でも解読が出来なかった領域の長さや、GC含量、その他の特徴を精査する。 (2)MultiPlex-PCRによる難読領域の増幅と解読 前述のHaloPlex法の結果を踏まえ、HaloPlex法によっても増幅が困難な領域の中で、長いものの中から96カ所を選択し、これを標的としたPCRプライマーを設計する。さらにGCリッチの配列の増幅に適したPCRを行い、PCRの成功率を検証する。その後、8~16組のプライマーを混ぜてMultiplex PCRを行い、8 amplicons x 300 bp x 96 well = 230.4 kb/768 locusから、16 amplicons x 300 bp x 96 well = 460.8 kb/1,536 locus程度の難読領域の増幅と解読を試みる。 最終的には、HaloPlex法とMultiplex PCRによる増幅産物を混合し、同時に次世代シーケンサーで解読し、難読領域の解読を行う条件を確立する。また、これまでにエキソーム解析で疾患原因変異が同定できなかった症例に適用し、この解読法の有効性を実証する。
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[Journal Article] Mutations in SERPINB7, encoding a member of the serine proteaseInhibitor superfamily, cause Nagashima-type palmoplantar keratosis2013
Author(s)
Kubo A, Shiohama A, Sasaki T, Nakabayashi K, Kawasaki H, Atsugi T, Sato S, Shimizu A, Mikami S, Tanizaki H, Uchiyama M, Maeda T, Ito T, Sakabe J, Heike T, Okuyama T, Kosaki R, Kosaki K, Kudoh J, Hata K, Umezawa A, Tokura Y, Ishiko A, Niizeki H, Kabashima K, Mitsuhashi Y, Amagai M.
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Journal Title
Am J Hum Genet
Volume: 93
Pages: 945-956
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Mutations in SERPINB7, encoding a serine protease inhibitor, cause Nagashima-type palmoplantar keratosis2014
Author(s)
Kubo, A. Shiohama, T. Sasaki, K. Nakabayashi, J. Kudoh, K. Hata, A. Umezawa, Y. Tokura, A. Ishiko, H. Niizeki, K. Kabashima, Y. Mitsuhashi, M. Amagai
Organizer
2014 Society for Investigative Dermatology Annual Meeting
Place of Presentation
Albuquerque, New Mexico, USA
Year and Date
20140507-20140510