2013 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム断片の再整列によるゲノム構造変異の同定法の構築
Publicly Offered Research
Project Area | Personal genome-based initiatives toward understanding bran diseases |
Project/Area Number |
25129709
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
樽井 寛 独立行政法人理化学研究所, ライフサイエンス技術基盤研究センター, 上級研究員 (90342815)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ゲノムシーケンス / ゲノム構造変化 |
Research Abstract |
本研究課題では、ゲノムの完全解読法の開発をとおして、ゲノム構造の変異を検出できる系を開発し、実用化することを目指す。方法としては以下の通りである。1.トランスポゾンとインテグラーゼを用いてマイクロアレイ基盤で作製した4 x 1012種のバーコード配列ペアを【割り符】としてゲノムDNAにランダムに挿入する。2.その後バーコードペアの内側を切断する。3.その結果、切断箇所を挟んで同一のバーコードが存在することになり、バーコードをたどることによって、となり同士であったフラグメントが分かるしくみである。これによってゲノム断片の再整列ができ、ゲノム全体の構造を解析することができる。この系はExome解析を補完する解析法と考えている。 今年度はトランスポゼースの選定と大腸菌による発現、精製を試みた。トランスポゼースとしてはゲノムに非特異的にトランスポゾンを挿入できるcut and pasete型挿入タイプのものTn7A, B, C三量体、Tn5, Tc1, Tn10を選択した。それぞれに対してHisタグおよびtag乖離反応が容易なintein tagによる精製用ベクターにトランスポゼースをクローニングし、複数の宿主大腸菌によって発現誘導を行った。いくつかの組み合わせで適切な分子量のタンパク質発現が検出できたため、それらについて発現タンパク質の精製を行った。特にTn10にintein tagを付加した場合に高いタンパク質発現が得られ、chitinカラムによる吸着とDTTによる還元状態下でのintein tagの分離と発現タンパク質の溶出を行った。その結果、SDS-PAGEにより目的の分子量のタンパク質が確認され、あわせてCBB染色レベルでは夾雑タンパク質がないことを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画では、初年度でトランスポゼースの酵素活性測定とゲノムへの挿入実験を行う予定であった。一方、大腸菌による発現に手間取り、初年度ではトランスポゼースの精製まではおこなえたものの、酵素活性測定には至らなかった。今年度に入り、早速酵素活性測定に取り組んでおり、この若干の遅延については早期に挽回できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、得られたTn10リコンビナントタンパク質の活性を測定し、実際のヒトゲノムへトランスポゾンを有するDNAフラグメントを挿入するための反応系の構築を行う予定である。さらに挿入配列および反応系の至適化をはかり、ヒトゲノムを完全に解読できることを証明したい。あわせて、別のトランスポゼースも順次精製、活性測定を行う。将来的にはトランスポゼースの挿入先の配列特異性を消すために、複数種のトランスポゼースを作用させることも考えている。 さらに、実際にヒトゲノムを対象にトランスポゾンを挿入切断したゲノムDNA断片からシーケンスライブラリを作製、ゲノム断片の再整列化の解析を行う。このデータと参照標準配列と比較することで、本系の精度と可能性を評価する予定である。
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