2013 Fiscal Year Annual Research Report
「癌幹細胞」と「正常幹細胞」を区別する特異的マーカー同定とそれを育むニッチの解析
Publicly Offered Research
Project Area | Development of Novel Treatment Strategies Targeting Cancer Stem Cells |
Project/Area Number |
25130706
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
千葉 勉 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30188487)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 癌幹細胞特異的マーカー / ニッチ / Dclk1 |
Research Abstract |
癌幹細胞を標的とする癌治療の実現には、正常幹細胞に発現していない癌幹細胞特異的マーカーを見いだす必要がある。本研究では、そのひとつであるDoublecortin-like kinase 1(Dclk1)を軸として、複数の癌幹細胞マーカー間のネットワークを解析し、新規の癌幹細胞特異的マーカーを同定し、かつDclk1細胞のCox/プロスタグランジンによる癌幹細胞・ニッチ維持機構を検証する。 1.癌幹細胞マーカーのネットワーク解析および新規の癌幹細胞特異的マーカーの同定:Dclk1-GFP、Lgr5-EGFP、CD133-GFP、Sox9-GFPマウスとApcMinマウスとを交配し、Dclk1を中心として各幹細胞マーカーの発現の重複を検討した。その結果、マウス腸腫瘍においてDclkは各幹細胞マーカー陽性細胞の一部だけと共存していた。このことから、複数の幹細胞マーカーが重複する分画に真の腫瘍幹細胞が存在する可能性が示唆された。そのため、マウス腸腫瘍組織を単細胞に分離し、Dclk1およびLgr5陽性の腫瘍幹細胞分画をFACSによって収集し、cDNAアレイによって同分画に特異的に発現する遺伝子群を絞り込んだ。 2.プロスタグランジンによるオートクライン/パラクライン的な癌幹細胞・ニッチ維持機構の解明:本研究では、Dclk1陽性細胞が産生・分泌する局所のプロスタグランジンが、Dclk1陽性癌細胞自身の幹細胞性をオートクライン的に維持するとともに、癌幹細胞から生じた癌前駆細胞の維持や増殖をパラクライン的に制御する可能性を検証する。そこで、ヒト大腸癌細胞株において、Cox阻害剤がDclk1陽性細胞の増殖や幹細胞性の維持に関わる因子の発現へ及ぼす影響を検討した。また、Dclk1のノックダウンおよび強制発現実験を行って、幹細胞性の維持に関わる因子やCox-1/2発現への影響を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で平成25年度に予定していた諸項目は、下記の様に当初の計画に準じて、あるいは複数の項目で当初の計画以上に順調に推移した。 1.癌幹細胞マーカーのネットワーク解析および新規の癌幹細胞特異的マーカーの同定:Dclk1-GFP、Lgr5-EGFP、CD133-GFP、Sox9-GFPマウスとApcMinマウスとの交配は順調に進捗し、Dclk1を中心として各幹細胞マーカーの発現が重複するか否かを検討することが出来た。その結果、マウス腸腫瘍においてDclkは各幹細胞マーカー陽性細胞の一部だけと共存していることが判った。このことから、癌幹細胞マーカーのネットワークの一端を明らかにする手掛かりを得ることができ、さらにFACSで収集したDclk1およびLgr5陽性の腫瘍幹細胞分画からcDNAアレイによって特異的に発現する遺伝子群を絞り込んだ。 た。また当初の計画通り、他の消化器癌モデルマウス(胃癌、膵臓癌、胆嚢癌など)とDclk1-CreERT2ノックインマウスの交配も順調に進捗し、他臓器の癌でのDclk1の役割解析を行う準備も順調である。 2.プロスタグランジンによるオートクライン/パラクライン的な癌幹細胞・ニッチ維持機構の解明:ヒト大腸癌細胞株を用いて、Cox阻害剤が 各種幹細胞マーカーや抗アポトーシス因子などの発現へ及ぼす影響を検討した。また、ヒト癌細胞株において、Dclk1のノックダウンおよび強制発現実験を行って、幹細胞マーカー、抗アポトーシス因子、およびCox-1/2発現への影響を検討した。さらに、平成26年度にマウス生体でも解析を行うための、Dclk1ノックアウトマウスとApcMinマウスの交配も順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の成果に基づいて、平成26年度には以下の研究を推進する。 1.既知の幹細胞マーカーのネットワーク解析および新規の癌幹細胞特異的マーカーの同定:平成25年度にDclk1およびLgr5陽性の腫瘍幹細胞分画で新しく同定されたがん幹細胞特異的因子の候補について、ヒト癌組織やマウス腫瘍組織で発現を検討する。同時に、ヒト癌細胞株を用いた過剰発現またはノックダウン実験を行い、癌幹細胞がもつ特質がどのように変化するかを検証する。また、平成25年度から開始した胃癌、膵臓癌、胆嚢癌などのモデルマウスとDclk1-CreERT2ノックインマウスとの交配を終了し、免疫染色およびlineage tracingを行って、Dclk1陽性細胞の癌幹細胞としての意義を他の癌幹細胞マーカーの役割ともども検証する。 2.プロスタグランジンによるオートクライン/パラクライン的な癌幹細胞・ニッチ維持機構の検証:Dclk1-CreERT2-GFP; R26R; ApcMinマウスを作出し、Cox阻害剤を投与して、Dclk1陽性細胞および子孫細胞の動態をlineage tracingにより検討する。また、平成25年度に作出を開始したDclk1ノックアウト; ApcMinマウスを用いて、Dclk1欠失が幹細胞性の維持に関わる幹細胞マーカー、抗アポトーシス因子や、Cox-1/2の発現へ与える影響を検討する。また、各種プロスタグランジン受容体の発現も検討し、癌幹細胞や癌前駆細胞がニッチからシグナルを受容する状態の変化も検討する。 これらの検討を通じて、癌幹細胞とニッチの本質に迫る。そのうえで、正常組織幹細胞には障害を与えず、癌幹細胞のみを根絶する新しい癌治療法開発への展開を目指す。また得られた成果をとりまとめ、学会等で報告する。
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Research Products
(16 results)
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[Journal Article] A model of liver carcinogenesis originating from hepatic progenitor cells with accumulation of genetic alterations.2014
Author(s)
Kim SK, Nasu A, Komori J, Shimizu T, Matsumoto Y, Minaki Y, Kohno K, Shimizu K, Uemoto S, Chiba T, Marusawa H
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Journal Title
Int J Cancer
Volume: 134
Pages: 1067-1076
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Dclk1 distinguishes between tumor and normal stem cells in the intestine.2013
Author(s)
Nakanishi Y, Seno H, Fukuoka A, Ueo T, Yamaga Y, Maruno T, Nakanishi N, Kanda K, Komekado H, Kawada M, Isomura A, Kawada K, Sakai Y, Yanagita M, Kageyama R, Kawaguchi Y, Taketo MM, Yonehara S, Chiba T
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Journal Title
Nature Genet
Volume: 45
Pages: 98-103
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Inhibitory role of Gas6 in intestinal tumorigenesis.2013
Author(s)
Akitake-Kawano R, Seno H, Nakatsuji M, Kimura Y, Nakanishi Y, Yoshioka T, Kanda K, Kawada M, Kawada K, Sakai Y, Chiba T
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Journal Title
Carcinogenesis
Volume: 34
Pages: 1567-1574
DOI
Peer Reviewed
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