2013 Fiscal Year Annual Research Report
Ctf18-RFCによるDNA複製・染色体接着・損傷応答カップリングの解明
Publicly Offered Research
Project Area | Coupling of replication, repair and transcription, and their common mechanism of chromatin remodeling |
Project/Area Number |
25131714
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
釣本 敏樹 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (30163885)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 染色体複製 / クランプ / ローダー / DNAポリメラーゼ / 染色体接着 |
Research Abstract |
染色体接着因子Ctf18-RFCは第2のPCNAローダーとして機能し、複製DNA ポリメラーゼε(Polε)と複合体を形成する。この複合体が複製、染色体接着、修復の3機能のカップリングに重要なはたらきを持つものと考え、複合体形成によって獲得する新規活性を解析した。単独の状態でのPCNAローディング活性に注目した結果、主要PCNAローダーRFCが多様なDNA構造を標的として生理的条件下で活性を持つのに対して、Ctf18-RFCは特定のDNA構造に対して、低塩濃度下でのみ活性を有する。これに対して、Polε存在下では、Ctf18-RFCも生理的条件下で高いPCNAローディング活性を持つ。このことからCtf18-RFCがPolεと一体となった複合体限定のPCNAローディングホロ酵素として機能することが予想される。これと平行して行った出芽酵母Ctf18のPolεとの複合体形成についての解析では、まずCtf18がヒト細胞と同様に、そのC末を介してPolεと複合体を形成することを明らかにした。さらにそのC末欠損持つ変異株の機能解析で、Polεと複合体を形成しないCtf18はPCNAローディング活性があるのにも関わらずCtf18ノックアウト株と同程度の高いDNA損傷感受性と染色体不安定性を示した。したがって細胞内でもCtf18-RFCとPolε複合体形成がCtf18の機能に必須であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
再構築したCtf18-RFCとPolεを使った機能解析では、Ctf18-RFCのPCNAローディング活性がPolεによって促進されるという新規の結果を得た。また、出芽酵母でも、両者の複合体形成が保存されていることを明らかにし、その結合に必要な配列を欠くCtf18の機能解析を進めることができ、これらの主要な課題については、順調に解析が進んだ。 しかし、本プロジェクトを次年度につなぐための研究であるPolε側の結合領域の同定については、予定した2hybrid系が機能せず、結果を得ることができなかった。またヒト細胞を使ったCtf18の機能解析は、まだCtf18の検出系が確立しておらず進めることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
主要課題のCtf18-RFC/Polε複合体の生化学的な機能解析については、PCNAのローディングがどのようなしくみで起き、どのようなはたらきを持つかを明らかにする必要がある。このために、DNA基質の構造を工夫してより複製DNAに近い状態にし、複合体の機能的な場面の再現が必要である。これに伴って、フットプリンディング、電顕等の単分子解析による複合体形成様式の解析に着手したい。 技術的な問題で進めることができなかったPolε側の結合領域の同定については、Polε断片の発現を2hybrid系以外の方法で発現を試みる予定である。また抗体が有効に使えなかったヒト細胞での解析については、タグ付きCtf18の発現系を工夫して細胞内でのCtf18の挙動解析に着手したい。
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