2013 Fiscal Year Annual Research Report
複製フォーク再生メカニズムの解析
Publicly Offered Research
Project Area | Coupling of replication, repair and transcription, and their common mechanism of chromatin remodeling |
Project/Area Number |
25131722
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
鐘巻 将人 国立遺伝学研究所, 新分野創造センター, 准教授 (20444507)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | DNA複製 / 相同組換え / DNA修復 / タンパク質分解 / 植物ホルモン |
Research Abstract |
本課題は複製フォークにおいて人為的に複製フォーク構成因子を分解除去することにより、複製フォークを破壊した際に果たして細胞は複製フォークを再生できるのかどうか検証することを目的としている。この目的を達成するためには、私たちが開発したオーキシンデグロン法と近年開発されたゲノム編集技術CRISPR法を利用する必要がある。 この一年間にCRISPRを利用したゲノム改変に関して、ほぼ必要なことは全て習得できた。実際に、通常のindelを利用したノックアウト細胞であれば、3週間でほぼ問題なく作製できる。本研究ではオーキシンデグロンカセットを複製ヘリカーゼMCMのC末端に融合するために、インフレームでノックインを行う必要がある。私たちは、必要なノックインカセットを作製し、ヒトHCT116細胞を材料としてMCM2遺伝子のストップコドン手前にオーキシンデグロンカセットを挿入することに成功した。この細胞では両アリルとも改変されているために、発現するMCM2は全てデグロンタグが付加されたものとなることをウェスタンブロットにより確認した。現在、分解に必要なF-boxタンパクをコードするTIR1遺伝子を導入している。 その他にも、複製フォーク伸長をモニターするためにはDNAファイバーアッセイが必要である。そこで、ヌクレオチドアナログCldUとEdUを利用したDNAファイバーアッセイのセットアップを行い、実際に複製フォーク速度を1分子レベルで測定することが可能になった。 私たちは、複製フォーク再生にはMCMファミリー因子であるMCM8-9複合体が関与しているのではないかと予想している。ノックアウト細胞を用いた解析を行った所、MCM8-9はRad51の下流で機能し、相同組換え時におこる新生鎖合成反応を促進することが明らかになった。このことは、MCM2-7が構成する複製フォークが崩壊すると、組換え依存的にMCM8-9が複製フォーク再生反応に関与するという私たちの提唱するモデルと一致する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時に提案した実験はほぼ問題なく遂行することができた。この一年はCRISPR技術取得に多くの時間を割いたが、実際にMCM2にデグロンタグを付加した株を樹立することができた。これからはTIR1を導入した株を樹立し、実際の機能解析実験に入ることができる所まで来ている。
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Strategy for Future Research Activity |
MCM2デグロン細胞に関しては、現在すすめているTIR1導入を行い、実際にMCM2を細胞内で分解できる細胞株を樹立する。得られた細胞をHUによりS期に同調し、MCM2分解後にHUからリリースすることで複製フォークが再生されるかどうか調べる。その際のMCM8-9の局在やDNAファイバーアッセイによるDNA合成伸長反応を検証する。また、MCM8-9欠損時の影響を調べることにより、複製フォーク再生反応にMCM8-9が関与するか調べる。
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