2013 Fiscal Year Annual Research Report
抗原変異の著しい病原体に対するHLA分子システムの可塑性と脆弱性
Publicly Offered Research
Project Area | HLA polymorphism, disease and evolution |
Project/Area Number |
25133706
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
上野 貴将 熊本大学, エイズ学研究センター, 准教授 (10322314)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | HLA / HIV |
Research Abstract |
HLAクラスI分子は、病原体由来のペプチドを抗原として提示して、病原体に特異的な細胞傷害性T細胞 (CTL)による免疫応答を制御している。しかしながら、病原体に特異的なすべてのCTLが必ずしも同レベルの免疫機能を有しているわけではない。HLA・ペプチド複合体は、CTLの機能的な制御にも積極的に関わっているのではないかと考え、研究を進めた。本年度は、HIV感染者の検体から、いくつかのHIV由来抗原ペプチドに特異的なCTLクローンを樹立して、抗原特異性と変異抗原に対する交差反応性を解析した。また、各CTLクローンおよびバルクCTL株から、抗原特異性を担うT細胞レセプター(TCR)をコードする遺伝子をクローニングした。この遺伝子をもとにレトロウイルスベクターを構築して、TCRを欠損した細胞に導入後、TCRの再構成を行った。そして、抗原変異と抗原認識にかかわるT細胞応答の関連性を解析したところ、重複したアミノ酸配列を有する3つの異なる抗原ペプチド(RPQVPLRPMTY, RPQVPLRPM, VPLRPMTY)に対して特異的なCTLでは、互いに交差反応するCTLと、アミノ酸の長さを明確に区別する2グループに分けられた。また、抗原ペプチドの各アミノ酸を他の19個のアミノ酸に置換したペプチドライブラリーで交差反応性を解析したところ、長さの異なる抗原に対する特異性の微妙な違いが、変異抗原に対する交差反応性のパターンに大きく影響することを明らかとした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
HIV特異的なCTLの抗原特異性と交差反応性について、独自のTCR再構築系を用いることによって、新たな知見を得ることに成功し、2つの論文として報告することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、HLA・抗原ペプチド複合体の動的な構造を解析して、T細胞レセプターと抗原ペプチドの動的な相互作用の解明に向けて、一歩ずつ研究を進めていきたい。まずは、一つの抗原ペプチドとHLAに限定して、動的構造の決定を共同研究をベースに進めていく。
|
Research Products
(2 results)