2013 Fiscal Year Annual Research Report
新規低分子化合物を用いたがん抑制機構の解析
Publicly Offered Research
Project Area | Integrative Systems Understanding of Cancer for Advanced Diagnosis, Therapy and Prevention |
Project/Area Number |
25134703
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
根岸 英雄 東京大学, 生産技術研究所, 特任助教 (60514297)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | がん / 低分子化合物 |
Research Abstract |
当初の予定通り、IMF-001でHela細胞を処理した際の遺伝子発現パターンを経時的にmicroarray解析によって網羅的に解析した。解析の結果、解析の時間が遅くなるほど、遺伝子発現レベルのサンプル間のばらつきが大きくなるが、一方で、早期にはばらつきの少ないデータが得られた。このような結果から、経時的な遺伝子発現の流れを解析するのではなく、早期に発現される遺伝子に着目し、どのような経路が活性化しているかを解析する事とした。その結果、IMF-001によって誘導される遺伝子が分類されるシグナル経路および、IMF-001誘導遺伝子の上流分子の推測結果が得られた。これらの中から次のsiRNAを用いた解析の候補遺伝子を100前後決定した。すなわち、シグナル経路についてはその経路に必須の因子をsiRNAによってノックダウンする事とし、一方で、IMF-001誘導遺伝子の上流分子については、その遺伝子の誘導レベルや誘導レベルの濃度依存性、既知の情報を総合的に判断して選定した。さらに、これらの候補遺伝子のsiRNAの合成および、候補遺伝子をスクリーニングするためのスクリーニング系の構築が完了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定を微調整し、数理解析の焦点を早期誘導遺伝子に定め、また、候補遺伝子の選定に時間をかけた。さらに当初の予定にはなかったが、活性のないIMF-001類縁体をスクリーニングし、同定に成功した。このような検討によって、当初の予定よりも候補遺伝子をより絞り、さらに新しい検証のツールとしてIMF-001類縁体を用いる事で、解析の精度を上げる事ができると考えられる。このような準備のため、スクリーニングに取りかかる時期が遅れたものの、より高い精度で目的の遺伝子同定を行える状況が整ったと考えており、候補遺伝子の中には多くの興味深い遺伝子が含まれる事からも、研究は順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
スクリーニングの準備が整ったため、本年度は精力的にスクリーニングを推進し、さらに予定通りスクリーニングから単離された遺伝子について、がん抑制との関連を詳細に解析する。 一方で、当初の予定にはなかったが、本研究課題とは別の研究課題において、IMF-001の標的蛋白の同定が進められており(本研究課題の目的は標的の同定ではなく機序の解明)、最近、その解析結果が得られている。その成果は本研究のものではないが、本研究を推進する上で非常に重要な情報を提供し得るものであるため、今後、研究目的をより確実に達成するために、標的蛋白情報も考慮して進めて行く。すなわち、上記のスクリーニングで得られた因子とIMF-001の直接の標的蛋白との関係についても新しく解析を追加する可能性を視野に入れ、検討を進める予定である。
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