2013 Fiscal Year Annual Research Report
複合解像度型イメージングを用いた高質感映像の収集と表示に関する研究
Publicly Offered Research
Project Area | Integrative studies of neural mechanisms and advanced information technologies for perception of material and surface qualities |
Project/Area Number |
25135712
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山口 雅浩 東京工業大学, 学術国際情報センター, 教授 (10220279)
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Project Period (FY) |
2013-06-28 – 2015-03-31
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Keywords | 分光イメージング / ディスプレイ / 質感 / 色再現 / 画像工学 |
Research Abstract |
優れた質感を再現する映像システムの基盤となる映像収集技術と表示技術に関する研究開発を行っている。映像収集技術としては、これまでに開発した「複合解像度型分光イメージング」技術を発展させ、忠実な色情報に加え、動き、高輝度な光沢やテクスチャー、さらに分光的な照明環境マップ等を効率的に収集する技術の確立を目指している。映像表示技術としては、広色域かつ自然な色再現技術、光沢や高輝度なテクスチャーなどの質感の再現性を向上する表示技術等を統合化したディスプレイの構築・視覚的評価を予定している。 2013年度は、光沢等の変化を含む映像を分光画像として取得するために、分光動画像入力システムを実装した。このシステムでは、RGBカメラと低解像度分光画像センサーにより取得したデータから、高解像度の分光画像を信号処理により復元する。本研究室で開発したPiecewise Wiener推定手法を動画処理用に実装し、良好な精度の分光動画像をリアルタイムで取得できることを確認した。本システムを8月に開催されたイノベーションJAPAN 2013に出展し、動態展示を行った。さらに、本システムの一つの課題であったRGBカメラの分光感度特性の正確な測定を省略するため、低解像度分光センサーと高解像度RGBカメラによる取得データの位置あわせを行って重回帰分析を適用することで自動キャリブレーションを可能とした。これにより、RGBカメラの分光感度特性の誤差の影響を抑制することが可能になり、精度の向上を図ることができた。また、今後本システムで取得した映像の質感再現性の評価等を実施するため、映像評価用実験システムを構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的として「複合解像度型分光イメージング」技術を発展させ、動きや高輝度なテクスチャー等の収集技術を確立することが挙げられるが、これまでに映像収集の精度を向上する方法を新たに開発するとともに、動画像での映像収集・リアルタイム処理が可能となり、また来年度に向けてダイナミックレンジの拡大・照明環境の分光情報取得などの技術的課題への方針が明確となっている。新規開発した手法に関しては国際会議に採択されており、2014年度に発表を行う予定である。またディスプレイを用いた質感再現性の評価については、実験装置の準備が概ね整い、次年度前半での実験を予定している。なおB班での食品鮮度の認知メカニズムの解明に対して6原色ディスプレイの提供を通じて協力した。以上より概ね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
1.複合解像度型分光イメージングを応用した高質感映像収集技術 平成25年度に実装したリアルタイム複合解像度型分光イメージングシステムについて、高感度・高階調性を有するカメラとの組み合わせによりダイナミックレンジの広い分光映像収集システムを構築する。また、リアルタイム回帰アルゴリズムの適用により、高解像度カメラの分光感度特性の事前モデル化を不要とし、組み合わせ可能なRGBカメラの制約を解消する。これによって本システムの応用対象が格段に拡張されることを実証する。さらに本システムを応用して照明環境の分光情報の簡易収集システムを構築し、2の質感再現性評価実験に応用する。 2.実物の質感をリアリティー高く再現するための映像表示技術と質感再現性の評価 周囲環境に合わせた高忠実な色再現や高輝度部の適切な階調変換が、知覚される質感にどのように寄与するかを明らかにするために、主観評価実験を実施する。1.のシステムで入力した画像及び照明環境の分光情報を用いて、対象物体と被験者の観察環境における照明の一致・不一致が質感に与える影響を明らかにする。また色再現精度・照明環境・視差・ダイナミックレンジなどの複合的な要素と知覚される質感との関係を検討する。 これらの検討により優れた質感を再現する映像システムの基盤技術を開発し、本研究領域の成果を映像機器・システムなどの工学的応用に展開することを目的とする。また質感脳情報学の他の研究グループとの交流を積極的に実施し、開発するシステム技術などを通じて領域の研究に資することを目指す。
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