2013 Fiscal Year Annual Research Report
質感認知における状態変化と材質の違いを区別するメカニズムの解明
Publicly Offered Research
Project Area | Integrative studies of neural mechanisms and advanced information technologies for perception of material and surface qualities |
Project/Area Number |
25135715
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
|
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
岡嶋 克典 横浜国立大学, 環境情報研究院, 准教授 (60377108)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 視覚情報処理 / 感性情報学 / 認知科学 / 画像 / シミュレーション工学 / 国際情報交換(英国) |
Research Abstract |
質感は、外界の物体属性を得る際に非常に重要な手がかりを与える感覚情報の1つである。本研究では、鮮度感や古さ感に加え、様々な「状態」を認知する高次質感メカニズムを解明するとともに、「材質」を特定する質感認知メカニズムを解明することで、状態と材質の認知における相互作用を検討し、総合的な質感認知モデルを構築する。次に、得られた知見を用いて、物体の状態を自動判定できるシステムを開発し、画像処理によって「材質感」を調整し、任意の「状態」を有する画像に変換・合成する技術を確立する。 恒温恒温槽を用いて食品を腐敗劣化させることに加え、画像処理によって食品の見た目の質感を変化させ、色の効果を実験的に検討するとともに、リアルタイム画像処理を施した食品を喫食時にHMDで呈示し、見た目の質感によって食感や味覚がクロスモーダル的にどのように変化するかを実験的に測定した。その結果、食品の色情報は物体の種類を同定するために重要な手がかりであるにもかかわらず、鮮度という状態判定には影響しない(重要な手がかりとはならない)ことを明らかにし、得られた知見を活用し、画像処理を用いた食品鮮度自動判定システムを試作した。また、食品の見た目の質感が、食品の状態のみならず、材質(内容物)の認知にも影響することを示した。 種々の人工物の経年変化や表面状態の変化を太陽光照射装置で人為的に生じさせることに加え、画像処理によってノイズ等を適切に加えることにより、自然な退色・風化をシミュレートできることを示した。これは、物体のテクスチャが物体の経年変化の手がかりとなっており、自然な「古さ感」が画像情報から生成・制御できることを明らかにした。 肌画像の色を変えた画像を生成し、様々な肌質感評価実験を行なった結果、肌知覚における色の効果は質感(状態判定)の種類によって異なることに加え、男女差が存在することが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
食品・人工物・肌と、広範囲な物体の質感を並列的に対象にしながら、それぞれの知覚特性を段階的に明らかにするとともに、その知見を工学的応用に活用し、さらにその成果をフィードバックさせて評価実験に反映させることで、多岐な内容に取り組んでいるにもかかわらず効率的に研究を進めており、また当初は計画していなかったクロスモーダル効果も併せて検討を進めており、おおむね順調に進展していると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度も基本的には昨年度の研究をさらに拡張していく方針であり、対象となる物体を増やすとともに、物理的な質感操作(加工)を検討・推進し、質感認知の一般原理の解明を目指す。また、質感認知メカニズムをモデル化・定式化を進め、画像処理等による自動質感判定システムの実現を目指す。さらに、食品のクロスモーダル効果を検討するために、質感制御システムのロバスト性を高めるとともに、質感と環境の相互作用についても検討する。視覚系における物体認知の枠組みにおいて、質感認知の役割や処理を明らかにするために、様々な心理物理学的測定法を駆使して解明していき、これらの成果を論文や学会・マスコミ等に幅広く公表していく予定である。
|
Research Products
(14 results)