2013 Fiscal Year Annual Research Report
皮質脳波法による生き物らしい質感の脳内表現の研究
Publicly Offered Research
Project Area | Integrative studies of neural mechanisms and advanced information technologies for perception of material and surface qualities |
Project/Area Number |
25135716
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
川嵜 圭祐 新潟大学, 医歯学系, 助教 (60511178)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 質感認知 / 皮質脳波法 |
Outline of Annual Research Achievements |
視覚に基づいた抽象的なカテゴリはどのような神経メカニズムによって実現されているのか?ヒトはさまざまな物体に”生き物らしさ”を感じて(アニマシー知覚)、物体を動物と非動物のカテゴリーに大別できる。これまでの研究から特定の動きのパターンや表面のテクスチャパターンなど、この知覚に重要な視覚的物理パラメータや、関連する脳領域が示唆されている。しかし、複数の物理パラメータが知覚に関与する仕組みや複数の関連脳領域がどのように協調してアニマシー知覚を生み出す機序は不明である。視線解析等の行動学的な研究からサルにおいても同様のアニマシー知覚が存在することが示唆されている。そこで本研究では、概念的な質感の動物モデルとしてサルのアニマシー知覚を行動学的、神経科学的に検証することを目的とした。動物の動きを撮影した動画と非動物物体が移動する様子を撮影した動画を用意した。2頭のニホンザルを用いて、それぞれの動画の種類に応じて適切な記号を80%以上の成績で正しく選択できるようになることがわかった。さらに新規の動画例で、記号と動画のカテゴリの割当が汎化するか検討した。一時期に6つの新規動画(動物、非動物、それぞれ3例)を導入しテストした。その結果、初学習に比べて早く基準成績に達し、学習の節約が見られた。また1頭のサルでは初めてみた動画に対しても正しいカテゴリ分けができるようになることがわかった(21/24;p<0.001,二項検定)。これらの結果は動画と記号の条件性反応だけでは説明できず学習の汎化が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の具体的な下位目標は以下のとおりである。①ニホンザルにおける動物・非動物のカテゴリ化能力の行動学的検証 1)記号を使った明示的な動物、非動物のカテゴリ弁別が習得できるか明らかにする。2)新規の刺激に対してどれだけ汎化するか明らかにする。 ②アニマシー生成を担う広範囲大脳ネットワークの役割の解明 1)上側頭溝を含む下側頭葉皮質と前頭葉内側部から同時にECoG記録を行う。2)活動が見出された領域の潜時、応答選択性を時間周波数において比較する。3)それぞれの領域の活動の相互関係を causality解析の手法を用いて明らかにする。 これまでに①1),2)については2個体において検証が進んだ。汎化の程度にやや個体差がみられるが、一致した傾向が見られたので順調に進んでいると言える。また②に関しては複数の脳領野に広範囲電極を留置する予備実験を行い必要な知見を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
ニホンザルにおける動物・非動物のカテゴリ化能力の行動学的検証が進み、条件性反応だけでは説明ない学習が見られた。今後はこれらの個体から皮質脳波を記録し、学習後の個体から、抽象的なカテゴリー判別を反映した活動が得られるか検証していく。
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Research Products
(2 results)