2013 Fiscal Year Annual Research Report
ナノマテリアルの細胞内ADMEに関する数理モデルの構築
Publicly Offered Research
Project Area | Establishment of Integrative Multi-level Systems Biology and its Applications |
Project/Area Number |
25136712
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉岡 靖雄 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (00392308)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ナノマテリアル / 細胞内動態 / 数理モデル |
Research Abstract |
近年、粒子径100nm以下の素材であるナノマテリアルが、医療・食品・工業など様々な分野における画期的素材として汎用されつつあるものの、世界的にナノ毒性に対する安全性懸念が高まっている。特に最も肝心な、安全性・動態情報は未だ乏しい。そこで本研究では、粒子径・表面物性の異なる様々なナノマテリアルを用い、1粒子の細胞内動態を経時的に観察することで、細胞内動態情報のモデル化を試みた。本研究では、細胞内に存在する非晶質ナノシリカの挙動を高感度かつリアルタイムに評価するために、薄層斜光照明顕微法(HILO法)を用いた。まず初めに、HILO法を用いて非晶質シリカを添加した細胞を観察したところ、従来の落射照明顕微法により観察可能であったサブミクロンサイズ以上の粒子に加え、従来法では観察困難である直径70 nmの非晶質ナノシリカ(nSP70)を1粒子レベルの高感度で観察することに成功した。その結果、特にnSP70は、細胞内で1粒子毎に様々な運動を示す様子が認められた。さらに、細胞に作用させた非晶質シリカの挙動を1粒子毎に観察した。その結果、nSP70は、直径300 nm、1000 nmの非晶質シリカ(nSP300、mSP1000)と比べ、運動速度が速く、粒子径の微小化に伴い、速く運動する傾向が認められた。また、運動の軌跡を比較したところ、nSP70はnSP300、mSP1000と比べ、運動する範囲が広く、細胞内において広範囲に運動している様子が認められ、運動速度の結果と同様に、粒子径が小さいほど細胞内で激しく運動する可能性が示された。以上の結果は、微粒子の細胞内における運動性が粒子径により異なる可能性を示すと共に、ナノマテリアルの細胞内動態を評価するうえで、1粒子毎に運動を評価することが必要であることを示した知見である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度には、本研究の最も肝心な検討項目である、ナノマテリアル1粒子の細胞内動態を経時的に観察することに成功し、シミュレーションに必要な、拡散係数といった運動に関数パラメータの算出に成功した。そのため、予定通りに研究は進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、大きな問題も無く順調に進んでいることから、今後も、当初の予定通り研究を遂行する予定である。
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