2013 Fiscal Year Annual Research Report
無機リン酸イオン調節の多階層的制御機序解析
Publicly Offered Research
Project Area | Establishment of Integrative Multi-level Systems Biology and its Applications |
Project/Area Number |
25136715
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
辰巳 佐和子 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (80420545)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 骨細胞 / 無機リン酸イオン / リン調節因子 / 腎臓 / 腸管 |
Research Abstract |
本研究では、体内小分子である無機リン酸イオンをモデルにし、骨細胞と多臓器を結ぶ新しいリン代謝シグナル、リンの恒常性維持機構を解明する。そして複数臓器の支配するリンホメオスターシスを多階層的に理解する分子基盤を構築することを目的としている。平成25年度は、1.骨細胞を死滅させたマウスにおけるリン代謝を詳細に解析し、2.血中リン恒常性維持を担う液性因子の探索を行なうためのシステムを立ち上げることを中心に取り組んだ。 1.骨細胞死滅マウスにおけるリン代謝 骨細胞死滅数と尿中リン排泄の程度には正の相関があることが明らかとなった。さらにリン利尿因子として、血清FGF23濃度の著しい低下と血漿PTHの上昇が見いだされた。これらのホルモンの濃度変化も骨細胞死滅数に応答していることが分かった。また腎臓でリン再吸収を担うナトリウム依存性リン酸トランスポーター (NaPi-IIa, NaPi-IIc)の減少、腸管リン吸収を担うNaPi-IIbタンパク質の減少も骨細胞の死滅数に依存することが明らかとなった。最近我々は新しいリン代謝経路としてニコチンアミド/Nampt経路を見いだした。骨細胞死滅マウスにおいても、この経路の活性化による、NaPi-IIa,NaPi-IIc, NaPi-IIb 発現減少の可能性を見いだした。 2.骨細胞死滅マウスにおける血中リン恒常維持を担う血中液性因子の探索 我々は、骨細胞死滅マウスにおいてナトリウム依存性リン酸トランスポータータンパク質の発現量が減少することから、腸管に絞って網羅的な遺伝子発現解析を行なった。興味深いことに、複数のホルモン作用を持つ因子の変動や脂質代謝関連因子の変動を見いだした。この中から、骨細胞死滅マウスの血中リン濃度維持に関与する因子の同定のため培養細胞系(腸管、腎臓)を用いて検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年に計画していた研究はおおむね着手することが出来た。また、本研究成果から、リン恒常性維持機構において骨細胞と腎臓および腸管には臓器連関があることが明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
現状では、おおむね実験計画にそっておおむね順調に進展している。 そのため研究推進方策としては、当初の実験計画に沿って研究を進める。 平成26年度は最終年度となるため、これまでの成果をまとめることも重要である。研究成果を用いて、リンホメオスターシスを多階層的に理解するための分子基盤構築を目指す。
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Research Products
(20 results)
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[Journal Article] Effect of dietary components on renal inorganic phosphate (Pi) excretion induced by a Pi-depleted diet.2014
Author(s)
Ohnishi R, Segawa H, Ohmoto T, Sasaki S, Hanazaki A, Mori A, Ikuta K, Furutani J, Kawakami E, Tatsumi S, Hamada Y, Miyamoto K.
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Journal Title
J Med Invest.
Volume: 61(1.2)
Pages: 162-170
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Hepatectomy-Related Hypophosphatemia: A Novel Phosphaturic Factor in the Liver-Kidney Axis.2014
Author(s)
Nomura K, Tatsumi S, Miyagawa A, Shiozaki Y, Sasaki S, Kaneko I, Ito M, Kido S, Segawa H, Sano M, Fukuwatari T, Shibata K, Miyamoto KI.
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Journal Title
J Am Soc Nephrol.
Volume: vol.25, No.4
Pages: 761-772
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Molecular Mechanisms of Cadmium-Induced Fibroblast growth Factor 23 Upregulation in Osteoblast-Like Cells.2014
Author(s)
Kido S, Fujihara M, Nomura K, Sasaki S, Mukai R, Ohnishi R, Kaneko I, Segawa H, Tatsumi S, Izumi H, Kohno K, Miyamoto KI.
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Journal Title
Toxicol Sci
Volume: Apr 19
Pages: 印刷中
Peer Reviewed
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[Presentation] 骨とリン利尿因子.2013
Author(s)
辰巳佐和子,木戸慎介,瀬川博子,宮本賢一.
Organizer
第58回日本透析医学会学術集会・総会
Place of Presentation
福岡国際会議場(福岡県)
Year and Date
20130621-20130623
Invited
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[Presentation] 肝臓切除患者における低リン血症発症機構の解明.2013
Author(s)
野村憲吾,辰巳佐和子,宮川淳美,岡奈都紀,塩崎雄治,木戸慎介,瀬川博子,佐野光枝,福渡努, 柴田克己,宮本賢一.
Organizer
第67回日本栄養・食糧学会大会
Place of Presentation
名古屋大学東山キャンパス(愛知県)
Year and Date
20130524-20130526
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[Presentation] リン利尿におけるKlothoの役割.2013
Author(s)
佐々木祥平,瀬川博子,大西沙織,森絢香,向井朋,真鍋舞,日下祐里,木戸慎介,辰巳佐和子 宮本 賢一.
Organizer
第56回日本腎臓学会学術総会
Place of Presentation
東京国際フォーラム(東京都)
Year and Date
20130510-20130512
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