2013 Fiscal Year Annual Research Report
カルシウムクロック機構の再構築と平滑筋組織ペースメーカーシミュレーション
Publicly Offered Research
Project Area | Establishment of Integrative Multi-level Systems Biology and its Applications |
Project/Area Number |
25136717
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
今泉 祐治 名古屋市立大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (60117794)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 薬理 / 細胞内カルシウムシグナル / カルシウム振動 / イオンチャネル / ペースメーカー / 平滑筋臓器 / 概日リズム |
Research Abstract |
本研究の目的は、ペースメーカー電位発生細胞でのペースメーカー電位発生機構を解明することである。Ca2+活性化Cl-チャネル(CaCC)は自発収縮能を有する門脈平滑筋において、そのペースメーカー活性を制御すると報告されたが、その分子実体は不明であった。ところが近年、TMEM16AがCaCC活性を持つことが報告されたことから、このTMEM16Aが門脈平滑筋のペースメーカー電位発生機構に関与するか調べた。TMEM16A特異的阻害薬によってCaCC電流のうち約60%が阻害され、門脈組織の自発的収縮も消失した。TMEM16Aにはa~dの4つのバリアントセグメントが含まれており、これらの部位の発現変化で複数のスプライスバリアント体が生じる。RT-PCRの結果、門脈平滑筋においてはabc体とacd体が90%を占めた。更に1分子イメージング解析より、abc体とacd体はそれぞれホモあるいはヘテロ2量体を形成することを明らかにした。また、アクチン重合阻害薬であるCytochalasin Dを用いて細胞骨格のCaCC活性に対する影響を調べたところ、CaCC電流の脱活性化時定数が延長し、ペースメーカー活性に対して細胞骨格が関与することが示唆された。 我々は日内リズムの調節に重要な器官である松果体において、自発的かつ周期的な細胞内Ca2+濃度上昇(Ca2+オシレーション)が生じることを発見した。このCa2+オシレーションはアセチルコリン(ACh)あるいはニコチンによっても誘発され、細胞膜の脱分極と同期し、ニフェジピンによって阻害された。メラトニンの分泌量を測定したところ、ノルエピネフリンの投与により分泌量は増強し、AChの投与によって抑制された。このように、L型電位依存性Ca2+チャネルの開口によるCa2+オシレーションは細胞内Ca2+濃度上昇を引き起こし、メラトニン分泌を負に制御していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
門脈平滑筋組織において、組織標本や単離細胞を用いた機能解析とmRNA発現解析により、TMEM16Aが門脈平滑筋ペースメーカー活性に対して重要な役割を担うことを明らかにした(2報発表)。また、中枢系のホルモン分泌組織である松果体においても、カルシウムオシレーションが生じ、メラトニン分泌量の制御に関与することを明らかにした(1報発表、2報投稿準備中)。この成果は概日リズム形成の分子基盤の解明に大きく寄与するものである。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)Ca2+クロックとイオンチャネルの機能連関によるペースメーカーモデル構築:細胞内Ca2+遊離チャネルの3型リアノジン受容体(RyR3)をHEK細胞に強制発現させ、同受容体を介したCa2+遊離がペースメーカー電位発生・調律・伝播に果たす役割を、TMEM16Aとの共発現系で検討する。従来通り発現ベクターを用いて進めると共に、Tet-Onシステムあるいはウイルスベクターを用いて、より発現効率のよい系を確立することも目指す。 (2)生体内Ca2+クロック機構の解明:ミトコンドリア呼吸リズムと小胞体間の機能的一体性が生じ、Ca2+オシレーションを安定的に発生させると推測している。消化管・門脈等のペースメーカー部位の微小標本を用い、細胞内局所におけるミトコンドリア呼吸リズムと小胞体間でのミトコンドリア膜電位と細胞内Ca2+動態の関係を共焦点蛍光顕微鏡及び全反射顕微鏡で高速で同時記録し、Ca2+クロックの発生機序の解明に挑む。 (3)Ca2+クロックによるペースメーキング電位発生機構の普遍性検討比較:TMEM16類の分子機能として、Ca2+振動の電位変化へのシグナル変換素子としての機能を想定している。中枢神経系を中心にTMEM16類の発現部位を探索し、自律性Ca2+振動(Ca2+クロック)を起源とするペースメーカー的な電気活動へのTMEM16 類の寄与の普遍性を検討する。申請者らは既に松果体においてTMEM16Bが高発現していること見出し、Ca2+クロックから活動電位の発生へのシグナル変換にTME16Bが寄与している可能性を見出した。松果体でのCa2+クロックの発生機序とペースメーカー的な電気活動へのTMEM16B の寄与をさらに解明する。 (4) Ca2+透過チャネルのペースメーカー電位への寄与の検討:平滑筋臓器でのICC ペースメーカー細胞でのCa2+クロックに対する、Ca2+透過チャネル(電位依存性Ca2+チャネルや容量依存性Ca2+チャネル)の寄与を明らかにする。
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Research Products
(47 results)
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[Journal Article] Up-regulation of KCa3.1 K+ channel in mesenteric lymph node CD4+ T-lymphocytes from a mouse model of dextran sodium sulfate-induced inflammatory bowel disease.2014
Author(s)
Ohya S, Fukuyo Y, Kito H, Shibaoka R, Matsui M, Niguma H, Maeda Y, Yamamura H, Fujii M, Kimura K, Imaizumi Y.
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Journal Title
Am J Physiol Gastrointest Liver Physiol
Volume: in press
Pages: in press
DOI
Peer Reviewed
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