2013 Fiscal Year Annual Research Report
G蛋白活性調節因子による心臓興奮の制御とその破綻
Publicly Offered Research
Project Area | Establishment of Integrative Multi-level Systems Biology and its Applications |
Project/Area Number |
25136721
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
佐藤 元彦 愛知医科大学, 医学部, 教授 (40292122)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | シグナル伝達 / G蛋白質 / 生理学 / 循環器・呼吸器 |
Research Abstract |
1.ヒト心臓に発現する新たなG蛋白活性調節因子の同定と解析:ヒト胎児心臓のmRNAより酵母スクリーン用のcDNAライブラリーを作製し、G蛋白活性調節因子のスクリーン用の特殊な酵母系に導入した。用いた酵母系では、導入された蛋白がG蛋白を活性化すれば酵母が増殖するように修飾が加えられている。増殖した酵母コロニーからプラスミドを回収し塩基配列を判読することによりG蛋白活性調節因子を同定することを試みた。Gαi3、GαS、Gα16を発現する酵母にヒト胎児心臓由来cDNAライブラリーを導入し、それぞれ1.7x10^6、1.7x10^6、4.8x10^6個のコロニーをスクリーンした。その結果、6種類の蛋白をコードする8種類のクローンを分離することに成功した。このうち、2種類の蛋白は申請者が過去に報告したものであった。しかし、4種類はG蛋白に関連する報告がなく、ヒト心臓に発現する新規G蛋白活性調節因子の候補蛋白と考えられた。 2.G蛋白活性調節因子を組み込んだ心臓興奮モデルを作成する研究:心臓に発現するG蛋白活性調節因子の既出情報を集約し、シミュレーションソフトウェアで情報伝達モデルを構築することを目標としている。その第一段階としてシミュレーションモデルを構築する上で必要となる情報を、既出情報から集約することを行った。最新の情報を加え、G蛋白活性調節因子別に制御機構を整理した。その結果、現時点ではG蛋白と調節因子の結合と解離に関する基礎データおよびほ乳類細胞でモデルを検証するデータの集積が不足していると思われた。G蛋白活性調節因子を組み入れたシミュレーションモデル構築には、引き続き検討が必要と考えられた。これら成果は複数の学会で発表し、一部は論文として公表した(Sato,M. Circulation Journal 77: 2455-2461, 2013.)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度当初に予定した計画はすべて達成することができた。ヒト心臓に発現する新たなG蛋白活性調節因子の同定と解析ではライブラリーの作製からスクリーン、候補蛋白の同定まで進行している。G蛋白活性調節因子を組み込んだ心臓興奮シミュレーションモデルを作成する研究は、既出情報の集約を行い成果を論文として公表することができた(Sato,M. Circulation Journal 77: 2455-2461, 2013.)。本年度に行った検討の結果、当初予定したCellDesignerを用いたモデル構築には、既存情報の集積が不足していることが明らかになった。ほ乳類以外の情報も加えCellDesignerを用いたシミュレーションモデルの作製を検討したい。
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Strategy for Future Research Activity |
1)酵母を用いた候補蛋白の機能解析:分離されたプラスミドは再び酵母へ導入し、翻訳された蛋白がG蛋白を活性化すること、つまり酵母の増殖を促進することを確認する。同時にスクリーンされた蛋白がGαi3、GαS、Gα16のどのαサブユニットを活性化するのか、それぞれを発現する酵母へ導入しG蛋白サブユニットの選択性を判定する。 2)新規G蛋白活性調節因子の候補蛋白の機能解析:①スクリーンされた蛋白がG蛋白活性を制御することを、精製蛋白を用いたin vitroの実験、細胞レベルでの実験で確認する。②ヒト組織における発現を蛋白レベルおよびRNAレベルで検討する。③上記結果からヒト心臓に発現するG蛋白活性調節因子を決定し、心臓興奮活動への関与を検討する。 3)シミュレーションモデルの構築と検証:ほ乳類細胞のみならず、他のモデル動物細胞で得られた情報をもとに、基礎的なシミュレーションモデルをCellDesignerを用いて作製する。引き続き、モデル構築に有用な情報の収集を続け、作製したモデルを改良することを検討する。
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Research Products
(19 results)
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[Journal Article] Combination therapy of cisplatin and inductive hyperthermia using ferucarbotran (Resovist®) in human oral cancer cells.2014
Author(s)
Sato I, umemura M, Mitsudo K, Kioi M, Nakashima H, Iwai T, Feng X, Oda K, Miyajima A, Makino A, Iwai M, Fujita T, Yokoyama U, Okumura S, Sato M, Eguchi H, Thonai I, Ishikawa Y.
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Journal Title
Journal of Physiological Sciences
Volume: 64
Pages: 177-183
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Disruption of Epac1 decreases phosphorylation of phospholamban and protects the heart against tresses.2014
Author(s)
Okumura S, Fujita T, Cai W, Jin M, Namekata I, Mototani Y, Jin H-L, Ohnuki Y, Tsuneoka Y, Kurotani R, Suita K, Kawakami Y, Hamaguchi S, Abe T, Kiyonari H, Tsunematsu T, Bai Y, Suzuki S, Hidaka Y, Umemura M, Ichikawa Y, Yokoyama U, Sato M, Ishikawa F, Izumi-Nakaseko H, Adachi-Akahane S, Tanaka H, Ishikawa Y.
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Journal Title
Journal of Clinical Investigation
Volume: 印刷中
Pages: 印刷中
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] シンポジウム“心筋組織の恒常性維持機構とその破綻(オーガナイザー:佐藤元彦, 黒瀬等)” 心筋虚血関連G蛋白活性調節因子(AGS8)由来ペプチドによる低酸素誘導心筋アポトーシスの制御.
Author(s)
佐藤元彦, 鈴木洋子, 佐喜眞未帆, マムン アル アブドゥラ, 林寿来, 岩瀬敏, 犬飼洋子, 西村直記, 佐藤麻紀, 清水祐樹.
Organizer
第91回日本生理学会大会
Place of Presentation
鹿児島大学郡元キャンパス(鹿児島市郡元1-21-24)
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[Presentation] 病態特異的G蛋白活性調節因子の同定と解析:多発性嚢胞腎に発現するG蛋白活性調節因子の同定.
Author(s)
鈴木洋子, 佐喜眞未帆, マムン アル アブドゥラ, 林寿来, 岩瀬敏, 犬飼洋子, 西村直記, 佐藤麻紀, 清水祐樹, フランク パーク, 佐藤元彦.
Organizer
第91回日本生理学会大会
Place of Presentation
鹿児島大学郡元キャンパス(鹿児島市郡元1-21-24)
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[Presentation] 半側顔面多汗の病態解析.
Author(s)
犬飼洋子, 岩瀬敏, 桑原裕子, 清水祐樹, 西村直記, 佐藤麻紀, 菅屋潤壹, 佐藤元彦.
Organizer
第91回日本生理学会大会
Place of Presentation
鹿児島大学郡元キャンパス(鹿児島市郡元1-21-24)
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[Presentation] Pathogenesis of the hemifacial hyperhidrosis.
Author(s)
Inukai Y, Iwase S, Shimizu Y, Sato Maki, Nishimura N, Onizuka C, Kuwahara Y, Sugenoya J, Sato M.
Organizer
XXI World Congress of Neurology
Place of Presentation
Reed Messe Wien GmbH, Congress Center (Messeplatz 1, Vienna, Austria)
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[Presentation] 局所性多汗症の病態解析.
Author(s)
犬飼洋子, 岩瀬敏, 西村直記, 佐藤麻紀, 清水祐樹, 桑原裕子, 菅屋潤壹, 佐藤元彦.
Organizer
第54回日本神経学会学術大会
Place of Presentation
東京国際フォーラム(東京都千代田区丸の内3-5-1)
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