2014 Fiscal Year Annual Research Report
福祉領域での発達障害特性を考慮した触法者に対する臨床心理学的コンサルテーション
Publicly Offered Research
Project Area | Law and Human Behavior |
Project/Area Number |
26101704
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
金澤 潤一郎 北海道医療大学, 心理科学部, 講師 (80632489)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 触法者 / コンサルテーション / 成人の発達障害 / 触法障害者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本応募課題では,臨床心理の実務家が弁護士やケースワーカーと連携し,コンサルテーションを行い,ケースワーカーが臨床心理学的な視点も含んだ支援を行うという新たな試みを行う。具体的な研究目的は2 つある。1 つは,一般相談の中で行う心理学的な支援が触法者の再犯,生活の質,気分に及ぼす影響を検討することである。もう1 つは,臨床心理の実務家のコンサルテーションに対して,ケースワーカーと弁護士が実感したメリットとデメリットを明らかにすることである。 平成26年度は月1回の研究会を開催し,弁護士,社会福祉士,臨床心理士(申請者)で協議を継続しながら,弁護士やソーシャルワーカーが短い時間の中で利用者の特性に関する情報を収集するためのシート,利用者の発達障害特性や行動パターンを把握するための簡便なツールである「アセスメントシート」の開発と修正,そして実際に累犯障害者に対して支援とコンサルテーションを実施してきた。その成果として,4名の触法障害者に支援を実施し,弁護士やソーシャルワーカーが感じた臨床心理学的コンサルテーションのメリットとデメリットへの回答を得た。また2か月に1回程度,研究促進を目標として,当該分野の論文講読会を継続してきた。論文講読会を継続する中で,当該分野の研究動向を申請者のみならず,弁護士やソーシャルワーカーと知見を共有することができている。 学術的な研究成果としては,第22回日本社会福祉士会全国大会にて学会発表を行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
弁護士やソーシャルワーカーなどとの勉強会を継続し,触法障害者に関する臨床心理学的コンサルテーションを積み重ねることができた。臨床面では複数名の対象者に対して本研究課題に則った支援を実施した。また,学術的な成果としては,学会発表を1本行った。さらに論文購読勉強会を通じて,多職種との共通認識を高めることができた点も本課題の達成において重要な点であった。 研究を推進する中で,研究の中核となるアセスメントシート作成に関して,以下の課題が浮かび上がった。①累犯障害者の基本属性の多面的な把握,②発達障害傾向,精神的問題,知的な程度の包括的な把握が必要なこと,③臨床心理の専門家ではない専門家(弁護士,社会福祉士等)が活用できること,④できる限り簡便であること。これらの課題を解消すべく,実際に事例検討を重ねながらアセスメントシートの改良を継続してきた。その結果,ほぼ第一版としては完成し,説明書も付属することとなった。 現在の課題としては,研究対象となる累犯犯罪者の確保が容易ではない点である。この点に関しても協力いただける弁護士の確保に努めるなど,今後の研究推進を図っている状況である。課題進行状況としては,当初の目標を鑑みると80%ほどと評価したい。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の2年目となる本年度は,研究対象となる累犯障害者の確保に重点を置き,臨床心理学的コンサルテーションの実数を増やすことが最重要課題となる。現在,さらに多くの弁護士に協力を得るよう邁進している。また,本年度の後半には,「アセスメントシート」と説明書の配布,研究成果を広く社会に普及するための講演会の開催を予定している。現在,講演会の企画や登壇者の人選を進めている。
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Research Products
(2 results)