2014 Fiscal Year Annual Research Report
目撃者遂行型調査の効果の検討
Publicly Offered Research
Project Area | Law and Human Behavior |
Project/Area Number |
26101705
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
松尾 加代 慶應義塾大学, 先導研究センター, 研究員 (70726083)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 目撃記憶 / 警察捜査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、正確な目撃記憶をできる限り早い段階で獲得するために英国で開発されたSelf-Administered Interview(SAI)の日本語版(目撃者遂行型調査)を作成し、その効果を検討するものである。平成26年度は、目撃者遂行型調査の作成および大学生を対象にした実験を行った。初めに、目撃記憶の研究者2名によってSAIの日本語翻訳を行い、目撃者遂行型調査を作成した。 第1実験として大学生180名を対象に実験を行った。実験参加者は、犯罪ビデオの視聴直後または1週間後に、ビデオの内容について目撃者遂行型調査、認知面接(記憶促進のテクニックを用いた面接法)、または自由再生により供述を行った。結果は、直後・1週間後のいずれにおいても、目撃者遂行型調査による記憶成績は、他の方法による記憶成績より高かった。しかし、目撃者遂行型調査による記憶の再生では他の方法による再生と比較して、正しい記憶とともに、間違った記憶の想起も多かった。これは、英国で行われたオリジナル実験の結果を再現するものとなった。 第1実験終了後、目撃者遂行型調査内の日本語の見直しを検討するため、さらにもう1名の心理学研究者がSAIの日本語翻訳を行った。合計3名で翻訳を行ったものをまとめた後、さらにその日本語の文章を目撃者遂行型調査を知らない研究者が英語に翻訳をする作業を行った。これらを通して、オリジナルSAIの再現性を図った。 その後、研究実施計画の第2実験を開始した。第2実験では、実験参加者は犯罪ビデオの視聴直後と1週間後の2回、目撃記憶の再生を行う。視聴直後は、目撃者遂行型調査を含む3種類のいずれかの方法で目撃供述を行い、1週間後はすべての実験参加者が自由再生によって供述を行う。それにより、目撃者遂行型調査による記憶の持ち越し効果を検討する。現在、本実験は続行中で、データ収集段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2カ年計画で調査紙の翻訳と3つの実験を計画していた。現在、当初の計画通り第2実験まで進んでおり、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、現在大学生を対象に行っている第2実験を完了させた後、一般成人を対象にした第3実験の実施を計画している。第3実験の終了後、昨年度・今年度のすべてのデータを集約して、大学生と一般成人の相違点等の検討を行う。それらを通して、目撃者遂行型調査が日本の捜査で活用されるために必要と考えられる実験計画を立案する。
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