2014 Fiscal Year Annual Research Report
アクチン骨格超分子集合体の動的秩序形成機構と細胞遊走、力覚応答における機能
Publicly Offered Research
Project Area | Dynamical ordering of biomolecular systems for creation of integrated functions |
Project/Area Number |
26102505
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
水野 健作 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (70128396)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 細胞・組織 / 超分子集合体 / 細胞骨格 / アクチン / コフィリン / Rho / メカニカルストレス / 力覚応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
アクチン骨格はアクチン繊維と多くのアクチン結合蛋白質からなる細胞内超分子集合体であり、その動的な離合集散の時空間的制御システムは、細胞の形態変化、運動、分裂、力覚応答、組織化など細胞の高次機能発現において中心的役割を担っている。私たちは以前、アクチン脱重合・切断因子であるコフィリンを脱リン酸化・活性化するホスファターゼSlingshotを同定したが、本研究ではSlingshotがゲルゾリンによって切断されたアクチン繊維の断片と細胞質で結合し、活性化されることを見出した。これまでSlingshotは遊走細胞の先導端のラメリポディアなどアクチン繊維に富んだ領域で活性化されると考えられてきたが、この結果はSlingshotが細胞質全体で活性化されうることを示したものであり、細胞の極性化や遊走におけるアクチン重合・脱重合の時空間的制御システムの機能を考える上で重要な知見である。また、Slingshotがインスリン受容体基質IRS4と結合し、IRS4-PI3K経路を介して活性化されることを見出した。アクチン骨格分子集合体の動的秩序形成は細胞の力覚応答においても重要であるが、私たちは、ヒト血管内皮細胞の繰り返し伸展刺激によるストレスファイバーや細胞の直交方向への配向をモデルとして、力学的刺激によるアクチン骨格再構築に関わるRho-GEFをスクリーニングし、Soloを含む11種類のRho-GEFの同定に成功した。Soloの発現抑制は、血管内皮細胞の繰り返し伸展刺激によるストレスファイバーや細胞の直交方向への配向を抑制し、カドヘリン依存的な細胞引張刺激によるRhoAの活性化を阻害することを示し、Soloが、RhoAの活性化を介して、メカニカルストレスに対する細胞応答、特に細胞間接着依存的な細胞の力覚応答に関与することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アクチン骨格超分子集合体の重合・脱重合の時空間的制御機構について、アクチン脱重合・切断因子であるコフィリンの脱リン酸化・活性化酵素Slingshotの結合蛋白質として、ゲルゾリンとIRS-4を同定し、その機能を明らかにした。ゲルゾリンはアクチン繊維を断片化し、断片化したアクチン繊維によってSlingshotが細胞質でも活性化されることを解明したことは、アクチン骨格の時空間的制御機構を理解する上で重要な知見であると考えられる。また、IRS4との結合は、Slingshotの新たな活性制御機構を明らかにしたものである。さらに、メカニカルストレスによるアクチン骨格の再編成においてRhoの活性化は重要な役割を果たしているが、その活性化機構は不明であった。本研究によってSoloがメカニカルストレスによるRhoAの活性化とアクチン骨格の再編成に関与する事が明らかにされ、細胞の力覚応答の分子機構解明に貢献したと考えられる。以上の結果から、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、アクチン骨格の動的秩序形成機構を解明し、細胞遊走、力覚応答における機能を解明することを目的としている。アクチン脱重合・切断因子であるコフィリンの脱リン酸化・活性化酵素Slingshotは重合したアクチン繊維によって活性化され、アクチンの脱重合を促進するので、アクチン動的秩序における負のフィードバック機構を担っていると考えられる。Slingshot内に新たなアクチン繊維結合ドメインを見出したので、今後はアクチン繊維によるSlingshotの活性化機構の解明をさらに推進する。また、細胞の力覚応答に関わるRho-GEFとしてSoloの同定に成功したので、Soloの結合タンパク質やリン酸化レベルの解析などによって、メカニカルストレスによるSoloの活性化機構についてさらに研究を進める。また、アクチン超分子集合体の動的秩序形成におけるコフィリンの機能や可視化について研究班内での共同研究を進める。
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] Rho-guanine nucleotide exchange factors involved in cyclic stretch-induced reorientation of vascular endothelial cells.2015
Author(s)
Abiko, H., Fujiwara, S., Ohashi, K., Hiatari, R., Mashiko, T., Sakamoto, N., Sato, M., and Mizuno, K.
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Journal Title
J. Cell Sci.
Volume: in press
Pages: in press
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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