2014 Fiscal Year Annual Research Report
鞭毛の振動運動発現に至る動的秩序形成
Publicly Offered Research
Project Area | Dynamical ordering of biomolecular systems for creation of integrated functions |
Project/Area Number |
26102510
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
真行寺 千佳子 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (80125997)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 生体分子 / タンパク質 / 細胞 / 自己組織化 / 生物物理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,真核生物鞭毛の振動運動のメカニズムを探ることにより,生体分子の複雑性が,統合されて秩序だった高次機能獲得に至る自律的制御(秩序形成)の基本原理の理解を目指す。具体的には,ダイニン分子を対象とし,(1)鞭毛内の素子としてのダイニン分子の機能を解析する手法を開発し,その複雑性を1分子,多分子レベルで捉えることを実現し,(2)ダイニン分子の自律的複雑性が統合され,秩序系としての鞭毛の振動運動となる高次機能発現機構の解明を目指す。平成26年度には,ダイニン分子の内的複雑性を実験的に捉える手法の開発を行った。ウニ精子鞭毛より抽出精製したダイニン分子をガラス面上に吸着固定し,その上に重合微小管を投与後,ATPとATP再生系を与えて,ダイニンによる微小管滑り運動を誘導する。この実験系に外部からガラス微小針を挿入できるように上部開放系とすることを実現し,ガラス面上でダイニンにより移動運動を行う微小管を操作して力を加え,運動の変化を解析できる条件を確定した。この実験系を用いた微小管運動解析の結果,通常は,一方向性の移動運動しか示さない微小管が,加える力の条件により運動の変化を示すことを見いだした。具体的例としては,微小管の先端部あるいは後端部などの力を加える位置によって,微小管の移動運動の停止,移動速度の低下,移動方向の逆転を示すこと,これらの反応には加える力の条件との間に規則性が見られることが明らかとなった。また,運動の変化は,力を加えられた部位のみならず,移動する微小管の長さに沿うようにして,微小管全体で誘導される場合と,微小管の一部のみが反応を起こすことがあることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1年目の計画は,予定通りほぼ終了し,補充実験と論文執筆の準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
計画は予定通り進行しており,当初目的の達成には特に大きな変更はない。本計画がスタート後に計画を拡張する方向で,共同研究の準備を開始した。この進展状況次第では,計画を本格的に拡張する予定である。
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Research Products
(4 results)