2014 Fiscal Year Annual Research Report
生体膜における曲率形成と膜の形態変化を誘導・制御するペプチドツール
Publicly Offered Research
Project Area | Dynamical ordering of biomolecular systems for creation of integrated functions |
Project/Area Number |
26102522
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
二木 史朗 京都大学, 化学研究所, 教授 (50199402)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 曲率 / ペプチド / 細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
BARドメイン、ENTHモチーフ等、曲率誘導タンパク質中の、膜挿入により正曲率を誘起すると考えられているヘリックス部分に対応するペプチド7種を合成した。モデル膜を用いた示差走査熱量測定(DSC)、巨大リポソーム(GUV)の顕微鏡による形態変化観察、オクタアルギニン(R8)の膜透過促進効果を比較検討した結果、曲率誘導能の大きなペプチドは膜の流動性を高め、R8の膜透過を促進する効果があることが分かった。特に曲率誘導タンパク質Sar1p由来存在下ではR8の膜透過が大きく亢進され、細胞内薬物導入などへの応用の可能性も示唆された。また、BARドメイン由来のペプチドは、タンパク質の性質との類推から、当初正曲率を誘導すると期待されたが、ペプチドレベルでは負曲率を誘導するものもあることが分かり、曲率誘導ペプチドに付加するタンパク質構造によっても曲率の誘導のしかたが変わってくる可能性が示唆された。 負曲率誘導能を有するペプチド性抗菌物質存在下に、細胞とエンドソームマーカーであるデキストランポリマー(4 kDa)をインキュベーションしたところ、デキストランが細胞内に拡散することが分かり、負曲率を有するペプチドにエンドソーム膜不安定可能がある可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
7種の曲率誘導ペプチドの曲率誘導能とR8の膜透過亢進能を比較検討した結果、Sar1p由来の曲率誘導ペプチドがR8の細胞内移行を大きく促進することが見出され、細胞内への薬物送達や生理活性物質の移送等への応用が期待できることが分かった。また、正曲率誘導ペプチドだけでなく、負曲率誘導ペプチドも細胞内送達に応用できる可能性を示唆する結果も得られた。細胞を使った検討項目は、本来、来年度に予定されていたものであり、計画の一部を前倒しで行ったと言える。一方、これらのペプチドの細胞内送達における可能性を予定よりも詳細に検討したことと、得られた曲率誘導ペプチドの水溶性があまり高くないことから、本年度計画にあげた曲率誘導ペプチドの多量体の調製に関しては現在検討を行っている段階であり、全体として概ね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
化学的手法ならびに遺伝子工学的手法の両面から曲率誘導ペプチドの多量体の調製法に関して検討し、単量体と比べての曲率誘導促進効果を確認する。また、ペプチドの配列や修飾方法に検討を加え、効果を増強するための構造的要因に関して情報を得る。さらにその知見の細胞操作への展開に関して検討する。
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[Book] Peptide Science 20142015
Author(s)
Shiroh Futaki, Tomo Murayama, Silvia Pujals, Sayaka Katayama, Hisaaki Hirose, Hiroki Miyamae, and Ikuhiko Nakase
Total Pages
2
Publisher
The Japanese Peptide Society