2014 Fiscal Year Annual Research Report
リポソーム内膜タンパク質合成系を用いた細胞膜動態の再構成
Publicly Offered Research
Project Area | Dynamical ordering of biomolecular systems for creation of integrated functions |
Project/Area Number |
26102528
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松浦 友亮 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50362653)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 合成生物学 / リポソーム / 無細胞翻訳系 / 構成的アプローチ / 膜タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、無細胞翻訳系を用いて細胞サイズ(1-5 um)のリポソーム内外でヒトのミトコンドリア由来膜タンパク質Letm1を合成し、これがリポソーム膜の形態変化という高次機能を発現するメカニズムを解明する。すなわち、Letm1の配列、リポソーム脂質組成などの実験条件とリポソーム膜の形態変化の関係性を調べる。 2014年度は、内部でLetm1を合成した際のリポソーム膜の形態変化を定量化する実験系を確立することを目指した。具体的には、顕微鏡とフローサイトメーター(FACS)を用いた。まず、顕微鏡を用いてLetm1の膜への局在を確認した。Letm1のC末端に蛍光タンパク質mCherryを融合させた遺伝子を構築し、これをリポソーム内部に無細胞翻訳系とともに加えて内部で合成反応を行った。反応後の産物を共焦点顕微鏡で観察したところ、膜への局在を確認することができた。 加えて、FACSでは、Letm1の合成に伴ってリポソームのサイズ変化を調べた。リポソームを調製する際に蛍光ラベルされたキャリアタンパク質(Transferrin AlexaFluor647 conjugate)を内部に加えることで、個々のリポソームのサイズをFACSで測定される蛍光強度から算出した。その結果、Letm1の合成に伴ってリポソームの平均サイズが小さくなることがわかった。また、様々な親水基をもつリン脂質を用いてリポソームを調製し、それぞれのリポソームでLetm1を合成した。その結果、リポソームサイズの変化がリポソームの脂質組成に依存することもわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2014年度は、計画していたLetm1の変異体や蛍光タンパク質との融合タンパク質を構築した。加えて、顕微鏡やFACSを用いた実験系を確立した。予定通り達成できているため、順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
<リポソームの脂質組成、形態変化、Ca2+輸送活性の関係性の解明> Letm1はプロトンと共役してCa2+イオンを輸送するカルシウムチャネルである。そこで、Ca2+イオンの輸送活性を検出する実験系を構築し、リポソームの脂質組成、形態変化、Ca2+輸送活性の関係性を明らかにする。 Ca2+イオンを検出するためには、蛍光インジケータであるFluo4、Calcium green1, Rhod2などを検討する。これらのうちからリポソーム内部からの漏洩が少ない化合物を選択する。次に、Letm1を合成してCa2+イオンの輸送活性を検出する。このときに、種々の機能欠失変異体をネガティブコントロールとして用いる。 <Letm1配列とリポソーム形態変化の関係性の解明> リポソーム膜の形態変化にLetm1タンパク質の配列が及ぼす影響を明らかにする。Letm1は大きく分けて2つのドメイン、膜貫通ドメインとフレキシブルドメインからなる。そこで、Letm1のtruncated mutantを複数作成し、それぞれの変異体の形態変化やリポソーム融合に及ぼす影響を調べる。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] The evolutionary enhancement of genotype-phenotype linkages in the presence of multiple copies of genetic material2014
Author(s)
Uno, K., Sunami, T., Ichihashi, N., Kazuta, Y., Matsuura, T., and Yomo, T.
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Journal Title
Chembiochem
Volume: 15
Pages: 2291-2288
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] In vitro membrane protein synthesis inside cell-sized vesicles reveals the dependence of membrane protein integration on vesicle volume2014
Author(s)
Soga, H., Fujii, S., Yomo, T., Kato, Y., Watanabe, H., and Matsuura, T.
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Journal Title
ACS Synth Biol
Volume: 3
Pages: 372-379
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Identification of giant unilamellar vesicles with permeability to small charged molecules2014
Author(s)
Nishimura, K., Matsuura, T., Sunami, T., Fujii, S., Nishimura, K., Suzuki, H., and Yomo, T.
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Journal Title
Rsc Adv
Volume: 4(66)
Pages: 35224-35232
DOI
Peer Reviewed
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