2014 Fiscal Year Annual Research Report
メタロペプチドの分子認識化学を活用した動的秩序の多段階創生とタイムプログラミング
Publicly Offered Research
Project Area | Dynamical ordering of biomolecular systems for creation of integrated functions |
Project/Area Number |
26102540
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
三宅 弘之 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (00271198)
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Project Period (FY) |
2014-06-27 – 2016-03-31
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Keywords | 金属錯体 / 光学活性 / 外部刺激 / ダイナミクス / らせん / 光異性化 / 置換活性 / 情報伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
配位金属錯体は特異な立体化学と動的な配位子交換特性をもち、それらを精密に組み合わせると、空間と時間の同時プログラミングが可能となる。そのため、光学異性体をも含む立体構造を刺激応答により自在にコントロールできれば、生体系で見られるような多段階の動的秩序形成の人工系での実現と分子レベルでの原理の理解が期待される。本新学術領域研究では、研究代表者のグループが独自に開発した、キラルなメタロペプチドの外部刺激による動的らせん反転スイッチングや、伸縮-らせん反転からなる連続分子運動を基盤として、多段階の動的秩序形成とそれらのタイムプログラミング、さらにキラリティー情報の伝達・増幅システムの構築を目指している。その過程において、本年度は以下の研究成果が得られた。 1、「らせん型多核錯体を用いた多段階スイッチングシステムの創生」 複核遷移金属錯体型動的メタロペプチドを設計・合成した。酸-塩基や硝酸アニオンを外部刺激としたナノレベルでの『伸縮-らせん反転』からなる分子運動システムを実現した。単核錯体からなる分子運動システムとは異なり、ナノスケールレベルでの分子運動を実現した。 2、「光刺激によるらせん反転分子の開発」 光応答するアゾベンゼン置換基をキラル配位子末端に組み込み、光スイッチング特性を示すキラル錯体を構築した。『アゾベンゼンの光異性化』→『錯体の不安定化』→『Λ型からΔ型への錯体構造の再秩序化』の一連の過程による金属錯体の動的秩序形成を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規なメタロペプチド錯体を活用した動的秩序の多段階創成について、研究計画に沿った具体的な成果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、研究代表者が独自に開発した、キラルなメタロペプチドの外部刺激による動的らせん反転スイッチングや、伸縮-らせん反転からなる連続運動を基盤として、多段階の動的秩序形成とそれらのタイムプログラミング、さらにキラリティー情報の伝達・増幅システムの構築を目指す。昨年度は複核錯体の多段階スイッチングと光刺激による単核錯体の構造異性化について知見を得た。それらの結果を踏まえ、今後はさらにダイナミックな分子運動を目指し、以下のアプローチにより強力に研究を進める。 1、「メタロペプチドによるメゾスケールでのキラリティーの集積化と伸縮プログラミング」 生体系では必要なときに長距離にわたって構造変化の情報が次々とリレーされ、特異な機能発現が達成されている。そのような機能をもつ人工化合物を構築し、その指導原理を明らかにする必要が求められる。そのため、酸-塩基駆動により伸縮運動のできるキラル錯体分子を直列に連結することで、生体系に見られるようなメゾスケールでの伸縮分子運動の実現を目指す。単核錯体の伸縮運動で見られた伸縮距離はおよそ0.5nmであったので、多核化メタロペプチドでは、メゾスケールでの動的秩序形成が期待できる。 2、「フォトクロミズムをトリガーとした生体高分子の構造変換プログラミング」 前年度に構築した光スイッチング特性を示すキラル錯体にペプチド鎖を組み込み、『光刺激』→『アゾベンゼン基の光異性化(trans→cis)』→『金属中心の異性化』→『ペプチドらせんの異性化コントロール』と次々と構造情報のリレーした多段階制御系の構築を目指す。
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Research Products
(12 results)