2014 Fiscal Year Annual Research Report
線虫胚を用いた天然物リガンドの作用機序解明および標的因子探索法の構築
Publicly Offered Research
Project Area | Chemical Biology using bioactive natural products as specific ligands: identification of molecular targets and regulation of bioactivity |
Project/Area Number |
26102705
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
杉本 亜砂子 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (80281715)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 天然化合物 / 細胞増殖 / 線虫 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、C. elegans初期胚を用いて、細胞増殖抑制活性を持つ天然化合物(+)-neopeltolideの作用機序解析を行った。(+)-neopeltolideはin vitroでチトクロームbc1複合体活性を阻害することが報告されているが、チトクロームbc1複合体の機能阻害が直接細胞増殖抑制を引き起こしているのかどうかは不明である。われわれは、染色体・微小管・中心体を蛍光タンパク質で標識したC. elegans受精卵を(+)-neopeltolideで曝露し、その表現型をライブイメージングによって解析した。その結果、(+)-neopeltolide曝露した初期胚では細胞分裂が停止し、細胞分裂中期の紡錘体微小管が過剰に伸長することを見いだした。この表現型がチトクロームbc1複合体の機能阻害によるものかどうかを調べるために、チトクロームbc1複合体構成因子のRNAi機能阻害による表現型と比較した。その結果、チトクロームbc1複合体構成因子のRNAi胚では細胞分裂の遅延は見られたが、紡錘体微小管の過剰伸長は見られなかった。このことから、(+)-neopeltolideは、チトクロームbc1を標的とすることに加えて、微小管または微小管制御因子を標的とすることによって紡錘体微小管を安定化している可能性が示唆された。今後、微小管制御因子のRNAi機能阻害表現型と(+)-neopeltolide曝露による表現型を比較することにより、(+)-neopeltolideが微小管過剰伸長を引き起こす機構についてさらに解析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、線虫C. elegans初期胚を用いて、機能未知の天然化合物の作用機序を解明することを目的としている。平成26年度には、細胞増殖抑制活性を持つ天然化合物(+)-neopeltolideの作用機序解析を行い、細胞分裂中期に特異的な表現型を見出すなどの成果があった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画では、細胞増殖抑制活性を持つ天然物リガンドである(+)-neopeltolideと(-)-exiguolideに着目することを目指していたが、(+)-neopeltolideについて研究が進展し興味深い知見が得られているため、平成27年度も引き続き(+)-neopeltolideについての解析を中心に行う。
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