2014 Fiscal Year Annual Research Report
植物K+チャネルの阻害剤による活性調節機構とイオン透過孔の構造解析
Publicly Offered Research
Project Area | Chemical Biology using bioactive natural products as specific ligands: identification of molecular targets and regulation of bioactivity |
Project/Area Number |
26102711
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
浜本 晋 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10533812)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 阻害剤 / 植物 / K+チャネル / イオン輸送体 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに多くの動物K+チャネルの阻害剤や活性化剤が同定されており、医薬品として実用化されているが、植物K+チャネル特異的な阻害剤や活性化剤は見つかっていない。葉の表皮に存在する気孔の開度が大きいと水分の蒸散が多くなり、植物の乾燥耐性の低下が考えられる。植物K+チャネルKAT1は気孔の開口制御に関わっており、KAT1の活性調節により気孔の開度の人為的な操作が可能と考えられるため、KAT1特異的な阻害剤は農薬としての利用が期待されている。フグ毒として知られている動物Na+チャネルの阻害剤であるテトロドトキシン(TTX)の類縁体を用いて植物K+チャネル阻害剤の探索を行った。Na+チャネルとK+チャネルは高次構造が類似しているため、TTXによる植物K+チャネルへの作用が期待される。アフリカツメガエル卵母細胞にKAT1遺伝子を導入発現させ、二電極膜電位固定法によりK+チャネル活性を測定し、その後、テトロドトキシンを測定溶液中に添加して阻害活性を評価した。その結果、100μMの5-11,dideoxyTTXと4,9-anhydro-5-11,dideoxyTTXによって約50%のKAT1活性の抑制が見出された。TTXは、Na+チャネルのイオン透過孔の細胞外側にイオン透過孔を囲むように配位しているアスパラギン酸、グルタミン酸、リシン、アラニン(DEKAリング)に結合することが報告されている。KAT1のイオン透過孔にはDEKAリングが保存されていないため、TTXによるKAT1の阻害機序は不明である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
KAT1に対して阻害活性を示す化合物の同定に初めて成功したことにより、KAT1標的農薬の開発の可能性が示された。しかし、TTXのKAT1に対する阻害濃度はNa+チャネルに対するTTXの阻害濃度と比較して10~100倍程度濃度が高いため、より低濃度で阻害効果を示す親和性の高い阻害剤の探索が必要である。また、KAT1選択的な阻害であるのか検討が必要であるため、KAT1以外の植物K+チャネルを電気生理学的解析が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
KAT1に対して阻害活性を示した5-11,dideoxyTTXと4,9-anhydro-5-11,dideoxyTTXの構造類似体を用いてより強い阻害活性を示すTTXの同定を行う。KAT1のイオン透過孔付近にアミノ酸置換の変異を導入した変異KAT1チャネルとTTXを用いて電気生理学的解析を行ってTTXの阻害活性の評価を行う。さらにKAT1のイオン透過部位のタンパク質を発現精製してTTXの結合実験を行う。
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Research Products
(2 results)