2014 Fiscal Year Annual Research Report
生体機能光制御分子の創製とケミカルバイオロジーへの応用
Publicly Offered Research
Project Area | Chemical Biology using bioactive natural products as specific ligands: identification of molecular targets and regulation of bioactivity |
Project/Area Number |
26102738
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
戸嶋 一敦 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (60217502)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 生体機能分子 / タンパク / 光分解 / 光感受性分子 / 脱炭酸酵素 / 標的同定 / 有機合成 / 分子デザイン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究目的の達成のため、まず、これまで申請者によって見出されたタンパクを光分解する小分子である、2-フェニルキノリン、ポルフィリン、アントラキノン、アントラセン、フラーレン類のケミカルライブラリーを作成し、タンパクとして、BSAやLysoを用いた光分解を指標として、タンパクをランダム(非特異的)に光分解する万能バサミとなる光感受性分子を探索・合成することで、いくつかの新規のタンパク光分解用小分子を見出した。次に、標的が既知である抗ガン剤ゲフィチニブを上皮成長因子受容体(EGFR)のリガンドとして選択し、ゲフィチニブとタンパクを非特異的に光分解する光感受性分子のハイブリッド分子を作製した。さらに、A431細胞を用いて、細胞内における標的タンパクの光分解における選択性を、ウェスタンブロッティング法を用いて解析することで、本コンセプトが天然リガンドの標的同定法として適応可能なことを立証した。さらに、別の薬剤分子として、ベンゼンスルホンアミドを選択し、これとタンパクを非特異的に光分解する光感受性分子のハイブリッド分子を作製後、ヒト赤血球細胞を用いて、細胞内における脱炭酸酵素HCAIIの光分解における選択性を、ウェスタンブロッティング法およびSDS-PAGEを用いて解析することで、本新規手法が薬剤リガンドの簡便かつ迅速な標的同定法として有効であることを示し、ケミカルバイオロジーにおける新手法の一つを提示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究では、申請者らが独自に開発した技術である標的とする生体高分子(タンパク及び糖鎖)を光分解する光感受性分子を利用した、天然リガンドの新たな標的分子同定法の確立を目的としているが、本年度において、本研究の基盤となる成果として、既知の薬剤リガンドの標的同定法として有効であることを示せたため。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の今後の推進方策として、引き続き、タンパク及び糖鎖を選択的に光分解する生体機能分子の設計、合成、及び機能評価を行うことに加え、未知の標的同定法としての応用展開を行うことで、ケミカルバイオロジーにおける新手法を提供することを行う。尚、研究計画の変更あるいは研究を遂行する上での大きな問題点は現時点ではない。
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Remarks |
戸嶋研究室(分子生命化学研究室)
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