2014 Fiscal Year Annual Research Report
量子凝縮系およびソフトマターにおける自己組織化現象に対する流れの影響の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Synergy of Fluctuation and Structure:Foundation of Universal Laws in Nonequilibrium Systems |
Project/Area Number |
26103514
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
工藤 和恵 お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, 准教授 (30505574)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 自己組織化 / 量子凝縮系 / ソフトマター |
Outline of Annual Research Achievements |
スピン自由度を持つボース・アインシュタイン凝縮体(BEC)の強磁性相(強磁性BECと呼ぶ)では、強磁性体と同様に磁区パターンが観察される場合がある。そのドメインサイズ(磁区の特徴的な大きさ)の成長則は、磁気異方性がイジング模型的な場合は古典的な保存系での成長則と一致する。しかし、XY模型的な場合にはスピン渦の構造と超流動的な流れが密接に関係しているためドメイン成長は非常に複雑になる。本研究では擬2次元系の強磁性BECを扱い、XY模型的な場合のドメイン成長について研究を進めている。この系でのドメイン成長は渦の対消滅によって駆動される。渦を特徴づける量としては、スピン渦の巻数と超流動速度の循環を考慮する必要がある。この巻数と循環の組み合わせによって渦の構造が異なる。例えば、循環が0で巻数が±1の場合、渦芯で磁化が消える。このような渦をポーラーコア渦(PCV)とよぶ。循環も巻数も±1の場合は渦芯でも磁化が残る。このような渦をMermin-Ho渦(MHV)と呼ぶ。平成26年度は、渦の種類がMHVのみの場合に限定してドメインサイズの成長則を導出し、数値計算によってその妥当性を検証した。 パターン形成はソフトマターの系でも多く観察される。高分子溶液である塗料を乾燥させると、塗料および塗料を塗る基板の性質によっては、均質でない乾燥パターンが形成される場合がある。平成26年度は、なめらかな平板に塗料を塗る場合の理論模型を構築し、それを用いた数値シミュレーションを行った。表面張力や、基板からの溶媒の蒸発率が、均質でない乾燥パターンの形成に大きく影響しているとの知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
強磁性BECの磁区パターンの研究に関しては、状況を限定したうえでのドメイン成長則の導出に成功した。研究目的である普遍的なドメイン成長則の導出への第一歩となる成果であり、今後の研究の進展にもつながる。 塗料の乾燥パターンの研究に関しては、塗料を塗る基板がなめらかな場合の理論模型の構築と数値シミュレーションを行い、基板に障害物がある場合など、より複雑な条件下での乾燥パターンの研究への基盤ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
強磁性BECの磁区パターンの研究に関しては、渦の種類をMHVのみの場合だけでなくPCVのみの場合や、それらを混ぜた場合のドメイン成長則について研究を進める。 塗料の乾燥パターンの研究に関しては、塗料を塗る基板がなめらかな場合から、凸凹のある基板など、より複雑な条件を課した場合の研究へと発展させる。
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[Presentation] 塗料の乾燥パターン形成2014
Author(s)
牛嶋麗夏, 工藤和恵
Organizer
ゆらぎと構造の協奏 第2回領域研究会
Place of Presentation
北海道大学(北海道・札幌市)
Year and Date
2014-08-29 – 2014-08-31
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