2014 Fiscal Year Annual Research Report
円盤ギャップ内のダストサイズ分布の決定:観測と直接比較可能な理論モデルの構築
Publicly Offered Research
Project Area | New Frontiers of Extrasolar Planets: Exploring Terrestrial Planets |
Project/Area Number |
26103701
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
金川 和弘 北海道大学, 低温科学研究所, 博士研究員 (60720787)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 原始惑星系円盤 / 巨大ガス惑星形成 / 惑星-円盤相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
原始惑星系円盤に巨大ガス惑星が存在すると惑星と円盤の重力相互作用によって円盤ガスが惑星周辺から吹き飛ばされ、惑星軌道に沿った円盤ガスのギャップができる。最近の原始惑星系円盤の観測で発見されている円盤のギャップ構造は惑星が起源であると考えられている。しかしながら、現状でギャップの深さと惑星の大きさを定量的に結びつけることができる理論モデルは存在しない。本研究の目的は、惑星が作る円盤ギャップのガス・ダスト分布についての理論的なモデルを構築し、円盤観測でギャップの深さが得られたとき、そこにある惑星の質量を定量的に見積もる方法を確立することである。 本年度は、惑星が作るギャップのガス分布についてのモデルを構築し、円盤ギャップの深さとギャップ内に存在する惑星の質量についての理論的な関係式を導いた(Kanagawa et al. 2015)。このモデルを用いることで、原始惑星円盤にギャップ構造が観測された場合、そのギャップ構造を作り出した惑星の質量を見積もることができる。さらに、我々はこの理論モデルを、実際に惑星が作ったと思われる円盤ギャップが観測された恒星 (HD169142とHL Tau) に付随する原始惑星系円盤の観測結果に適用し、ギャップ内に存在すると考えられる惑星質量の見積もりを行った。特に、HL tauに付随する円盤は、ALMA望遠鏡の長基線試験観測キャンペーンで得られた高解像度な観測データを解析して円盤ギャップの深さ・円盤ガスの温度を算出し、その解析結果を用いて惑星質量の見積もりを行った。HL tauに付随する円盤ギャップに対して惑星質量の見積もりを行った例は、本研究が初めてである。この結果は国際学術雑誌である The Astrophysical Journal Lettersに投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、惑星が原始惑星系円盤に作るギャップ構造についての詳細な理論モデルを構築した。さらに、それを実際にギャップ構造が観測されている円盤に適用しギャップ内にある惑星質量の見積もりを行い、円盤観測と矛盾しない結果を得た。このように、実際の円盤に適用できる理論モデルの構築は概ね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
原始惑星系円盤において、ガスの分布とダストの分布は異なっていることが示唆されている。今後はこの分布の違いも考慮することでより高精度な理論モデルを構築する予定である。また、今後はALMAなどによって、今まで以上に原始惑星系円盤のギャップ構造が観測されると予測される。観測された円盤について本研究のモデルを適用し、円盤ギャップ内に存在する惑星質量の見積もりを行っていく予定である。
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Research Products
(6 results)