2014 Fiscal Year Annual Research Report
視線速度法による地球型惑星検出のための超広帯域光周波数コムの開発
Publicly Offered Research
Project Area | New Frontiers of Extrasolar Planets: Exploring Terrestrial Planets |
Project/Area Number |
26103709
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
小谷 隆行 国立天文台, 太陽系外惑星探査プロジェクト室, 助教 (40554291)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 光周波数コム / 視線速度測定 / 地球型惑星 |
Outline of Annual Research Achievements |
M型星の視線速度を高精度に測定するためには、近赤外線領域において同時に広い波長域の高分散分光を行うことが重要である。その際、恒星スペクトルの波長較正のために、波長安定性の高い基準となるレーザー周波数コムを用いる。本研究の目的は、これまで発生に成功しているレーザー周波数コムの帯域 (1200-1750nm)を拡張し、目標であるY,J,H-band (970-1750nm)をカバーすることである。コムを短波長側に拡張するために、平成26年度は以下のような検討を行った。 1、短波長側までコム帯域を拡張するために、パルスのピークパワーを増大することと、短波側にシフトしたゼロ分散波長の高非線形ファイバを導入することを検討した。 2、パルスのピークパワーを増大するために、平均パワーを約4Wまで増幅できる光ファイバ増幅器を導入するとともに、パルス幅を約1/20に圧縮するパルス圧縮器を開発した。これにより、従来より約10倍ピークパワーを向上することに成功した。なお、パワー増大によって生じるファイバヒューズなどの危険性に対処するため、耐パワー性に優れたアッテネータ、アイソレータ、フィルタなどの光部品とそれらの融着接続を導入した。 3、短波側にシフトした零分散波長の高非線形ファイバを複数種類組み合わせることで、分散の影響を極力少なくしたコム発生ファイバを構成できることを、計算と実験の両面から明らかにした。特に各ファイバの零分散波長と長さを精密に制御することが重要であった。 上記の研究により、最終的に1040-1750nmに渉るコムの広帯域化に成功した。 また波長安定性を高めるための光学系を構築し、初期的な波長安定度の確認実験を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
短波長化には様々な条件をクリアにする必要があったが、当初計画した実験を大きな問題なく進めることができた。コムの帯域は、目標であるY-band端(970nm)まであと少しの所まで来ている。ただし、現在はコム光を測定する光スペクトルアナライザの感度不足が原因で短波長側が見えておらず、実際はより短波長側までコムが発生している可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、下記のように主に光コムと開発中の赤外線高分散分光器を組み合わせての試験を行う。 1、短波長側の出力確認:IRDがカバーする波長は970-1750nmである。コムは特に短波長側の出力が難しいが、現在までに~1040nm周辺までは出力されていることを確認している。より短波長側については、光スペクトルアナライザーの感度不足により現在は確認できていないが、実際にはコムが出力されている可能性が高い。平成27年度は、コムを分光器に導入し、分光器に搭載されている高感度赤外線検出器を用いて、短波長側がどこまで延びているかを確認する。 2、強度の波長依存性問題の解決:コム強度には強い波長依存性があり、検出器のダイナミックレンジは有限なため、そのままでは一部の波長域でコム信号の測定が難しくなる。全ての波長域でコム信号を有効に利用するためには、強度の波長依存性を約10dB以内に抑える必要がある。平成27年度は、フィルターなどを組み合わせて、波長依存性がどこまで抑えられるかを確認する。 3、それぞれのコムは波長幅が非常に狭いため、可干渉性が高い。そのためファイバーを透過後にモーダルノイズが大きく出る傾向がある。モーダルノイズは、視線速度測定の主要な誤差要因になる可能性が高く、これを減らすことが極めて重要である。平成27年度は、モーダルノイズ低減のためにすりがらすなどの光学系を導入し、特にファイバー入射位置ずれ時のモーダルノイズ低減を目指す。 4、 分光器へコムを導入し、波長安定性の長期モニター試験を行う。周波数シフターを用いて人工的に波長のシフトを行い、分光器にて確認する。また2本のファイバーにコム光を導入し同時にスペクトルを測定することで、波長校正が可能か確認する。
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] Infrared Doppler instrument (IRD) for the Subaru telescope to search for Earth-like planets around nearby M-dwarfs2014
Author(s)
Kotani, T., M. Tamura, H. Suto, J. Nishikawa, B. Sato, W. Aoki, T. Usuda, T. Kurokawa, K. Kashiwagi, S. Nishiyama, Y. Ikeda, D. B. Hall, K. W. Hodapp, J. Hashimoto, J.-I. Morino, Y. Okuyama, Y. Tanaka, S. Suzuki, S. Inoue, J. Kwon, T. Suenaga, D. Oh, H. Baba, N. Narita, E. Kokubo, Y. Hayano, H. Izumiura, et al.
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Journal Title
Proceedings of SPIE
Volume: 9147
Pages: 914714-1 - 12
DOI
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[Presentation] Extra-solar planets exploration using frequency comb: Infrared Doppler instrument for the Subaru telescope (IRD)2015
Author(s)
Motohide Tamura, Takayuki Kotani, Hiroshi Suto, Jun Nishikawa, Bun‘ei Sato, Wak Aoki, Tomonori Usuda, Takashi Kurokawa, Ken Kashiwagi, Shogo nishiyama, Yuji Ikeda, Donald B. Hall, Klaus W. Hodapp, Shne Jacobson, Jun Hashimoto, Jun-Ichi Morino, Yasushi Okuyama, Yosuke Tanaka, Shota Suzuki, Jungmi Kwon, et al.
Organizer
D5: Fiber-optic devices and sensors, Optical Fiber Communication Conference
Place of Presentation
Los Angeles Convention Center, Los Angeles, California, USA
Year and Date
2015-03-24
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[Presentation] 地球型惑星検出のためのすばる赤外線ドップラー分光器IRDの開発: 92015
Author(s)
小谷隆行, 大宮正士, 周藤浩士, 神戸栄治, 森野潤一, 寺田宏, 小久保英一郎, 鈴木竜二, 成田憲保, 工藤智幸, 日下部展彦, 原川紘季, 林正彦, 福井暁彦, 權靜美, Oliver Guyon, 田村元秀, 西川淳, 青木和光, 臼田知史, 高遠徳尚, 早野裕, 高見英樹, 泉浦秀行, 堀安範, 橋本淳, 馬場はるか, 呉大鉉, 黒川隆志, 奥山康志, 森貴宏, 柏木謙, 他18名
Organizer
日本天文学会2015年春季年会 V213a
Place of Presentation
大阪大学豊中キャンパス(大阪府豊中市)
Year and Date
2015-03-20
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[Presentation] 近赤外線高分散分光器IRDのスクランブラー開発2015
Author(s)
馬場はるか, 西川淳, 泉浦秀行, 小谷隆行, 周藤浩士, 西山正吾, 森野潤一, 神戸栄治, 權靜美, 奥山康志, 森貴宏, 柏木謙, 田中洋介, 黒川隆志, 末永拓也, 呉大鉉, 崔森悦, 田村元秀, IRD チーム
Organizer
日本天文学会2015年春季年会 V214a
Place of Presentation
大阪大学豊中キャンパス(大阪府豊中市)
Year and Date
2015-03-20
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[Presentation] IRドップラー観測用光周波数コムの広帯域化2015
Author(s)
森貴宏, 奥山康志, 柏木謙, 田中洋介, 黒川隆志, 小谷隆行, 西川淳, 田村元秀
Organizer
2015年 第62回応用物理学会春季学術講演会 12p-A15-8
Place of Presentation
東海大学 湘南キャンパス (神奈川県平塚市)
Year and Date
2015-03-12
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[Presentation] 地球型惑星検出のためのすばる赤外線ドップラー分光器IRDの開発: 82014
Author(s)
小谷隆行, 周藤浩士, 神戸栄治, 森野潤一, 寺田宏, 小久保英一郎, 鈴木竜二, 成田憲保, 工藤智幸, 日下部展彦, 西山正吾, 林正彦, 福井暁彦, 權靜美, Oliver Guyon, 田村元秀, 西川淳, 青木和光, 臼田知史, 高遠徳尚, 早野裕, 高見英樹, 泉浦秀行, 堀安範, 橋本淳, 馬場はるか, 末永拓也, 呉大鉉, 黒川隆志, 柏木謙, 田中陽一, 鈴木翔太, 他21名
Organizer
日本天文学会2014年秋季年会 V215a
Place of Presentation
山形大学小白川キャンパス(山形県山形市)
Year and Date
2014-09-11
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[Presentation] Infrared Doppler instrument (IRD) for the Subaru telescope to search for Earth-like planets around nearby M-dwarfs2014
Author(s)
Kotani, T., M. Tamura, H. Suto, J. Nishikawa, B. Sato, W. Aoki, T. Usuda, T. Kurokawa, K. Kashiwagi, S. Nishiyama, Y. Ikeda, D. B. Hall, K. W. Hodapp, J. Hashimoto, J.-I. Morino, Y. Okuyama, Y. Tanaka, S. Suzuki, S. Inoue, J. Kwon, T. Suenaga, D. Oh, H. Baba, N. Narita, E. Kokubo, Y. Hayano, H. Izumiura, et al.
Organizer
SPIE Astronomical Telescopes + Instrumentation 2014
Place of Presentation
Palais des congres de Montreal, Montreal, Canada
Year and Date
2014-06-24
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[Presentation] Infrared Doppler project for the Subaru telescope to reach one Earth-mass planet around M dwarfs2014
Author(s)
T. Kotani, J. Nishikawa, H. Suto, M. Tamura, B. Sato, W. Aokia, T. Usudad, T. Kurokawa, K. Kashiwagi, S. Nishiyama, Y. Ikeda, D. Hall, K. Hodapp, J. Hashimoto, J. Morino, S. Suzuki, Y. Tanaka, Y. Okuyama, M. Inoue, Y. Mizuno, J. Kwon, T. Suenaga, D. Oh, N. Narita, E. Kokubo, Y. Hayano, H. Izumiura, E. Kambe, et al.
Organizer
Exoplanetary science, Recontre du Vietnum
Place of Presentation
International Centre for Interdisciplinary Science Education (ICISE), Quy Nhon, Vietnum
Year and Date
2014-04-22