2014 Fiscal Year Annual Research Report
ねじれたπ共役分子をモジュールとする機能性材料の創製
Publicly Offered Research
Project Area | Science on Function of Soft Molecular Systems by Cooperation of Theory and Experiment |
Project/Area Number |
26104510
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
中野 幸司 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (70345099)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | π共役分子 / 光物性 / 超分子化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,螺旋状のねじれた構造をもつπ共役分子「ヘリセン」をモジュールとして,その規則的な集積化によって高次構造を構築し,単分子では不可能な革新機能を示す柔らかい分子系を創製することである. (1)新規ヘリセンの合成:ヘリセン骨格に導入するヘテロ元素の種類・数が構造や物性に及ぼす効果についての知見を得るために,チオフェン環二つ,ヘテロール環一つ,ベンゼン環四つが縮環したトリへテロ[7]ヘリセンの合成を目指し,共通の出発原料となる1,1'-ビナフト[2,1-b]チオフェンの合成に成功した.さらに,チオフェン環二つの2位のリチオ化とジクロロシランとの反応により,収率は低いものの,新規ジチアシラ[7]ヘリセンの合成に成功した.また,ピロール環二つ,フラン環一つ,ベンゼン環四つが縮環したジアザオキサ[7]ヘリセンの合成にも成功した.さらに,ヘリセンのキロプティカル特性を付与した高発光性材料の創製に向けて,アザ[7]ヘリセンをドナー部位とする光学活性ドナー・アクセプター型分子を設計した.種々の条件検討の結果,シアノ基二つとアザ[7]ヘリセン二つが一つのベンゼン環に置換した新規光学活性ドナー・アクセプター型分子の合成に成功し,高い蛍光量子収率を達成した. (2)ヘリセンの高次集積化:螺旋構造を形成することが知られている高分子の側鎖にヘリセンを導入することで,主鎖に沿ってヘリセンが螺旋状に配列されたヘリセン集積体の構築と機能発現について検討した.まず,主鎖の螺旋高分子としてヘリカルポリアセチレン,ヘリセンとしてアザ[7]ヘリセンを選定し,重合部位となるエチニル基を導入した新規アザ[7]ヘリセンの合成に成功した.ロジウム触媒をもちいて得られたモノマー(ラセミ体)の重合をおこない,ヘリセンを側鎖に導入したヘリカルポリアセチレンの合成に成功した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)本研究では,縮環骨格にヘテロ原子を導入した新規ヘテロヘリセンを合成し,ヘテロ原子が物性に及ぼす影響を明らかにすることを目的の一つとしている.今回,複数のピロール環やフラン環がベンゼン環と縮環した[7]ヘリセンや複数のチオフェン環やシロール環がベンゼン環と縮環した[7]ヘリセンの合成に成功した. (2)また,本研究では,ヘリセンを規則的に集積化させることで光学機能の増幅を目指しているが,ヘリセンが螺旋高分子の側鎖に規則的に導入されたヘリカル高分子の合成に成功した.
|
Strategy for Future Research Activity |
(1)前年度に引き続き,種々のヘテロ原子が縮環骨格に導入された新規ヘテロヘリセンの合成をおこない,導入する原子の数や組み合わせが物性に及ぼす影響を明らかにする. (2)時間分解分光測定や理論計算などの領域内共同研究を推進することで,これまでに合成したヘリセンの特異な発光挙動に関して解析する. (3)種々の規則性高分子側鎖にヘリセンを導入し,ヘリセンの規則的な集積化による光学機能向上の可能性を探る.また,水素結合などを利用したヘリセンの規則的な集積体構築についても検討する.
|
Research Products
(7 results)