2014 Fiscal Year Annual Research Report
固体高分解能NMRを用いた細胞膜中で機能する光受容膜タンパク質の構造解析
Publicly Offered Research
Project Area | Science on Function of Soft Molecular Systems by Cooperation of Theory and Experiment |
Project/Area Number |
26104513
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
川村 出 横浜国立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20452047)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 固体NMR / 水素結合 / 細胞膜 / 13C化学シフト / レチナール |
Outline of Annual Research Achievements |
1.本年度はフォボロドプシンがトランスデューサーと相互作用して機能発現するために重要なTyr174とTyr199に関して、細胞膜に再構成したフォボロドプシンのそれらTyrの13Czeta-OHの化学シフト値を決定することに成功した。T204A変異体と比較したところ、Tyr174の水素結合環境が大きく変化していることが明らかとなった。また、温度によって、この信号強度が顕著に変化することがわかった。Tyr199はトランスデューサーとの相互作用によって、NMR信号が大きくシフトすることを観測した。これらはいずれも水素結合の変化によってNMR信号の変化が誘起されているため、現在この解釈を解析している。この成果を学会発表し、研究協力者がポスター賞を受賞するなど高い評価を受けた。 2.マイクロ波照射型NMRの開発に成功し、液晶分子のマイクロ波に対するユニークな挙動を観測することに成功した。( Y. Tasei, et al. (2015) JMR, Y. Tasei, et al. (2015) PCCP) 3.Dアミノ酸残基を含む抗菌ペプチドの細胞膜内分子間相互作用を調べるために、架橋実験や31P NMRを駆使した実験を行った。この成果を学会発表し、研究協力者がポスター賞を受賞するなど高い評価を受けた。 4.本新学術領域研究において、柔らかな分子系を理解するために領域内の共同研究も遂行した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に目標としていたフォボロドプシンのTyr174とTyr199の13Czeta-OHのNMR信号の帰属を完了した。水素結合の変化が関与するこの信号について、領域内の班会議などにおいて十分なディスカッションを行うことができた。柔らかな分子系研究の中において、水素結合の変化によって生じる機能発現のメカニズムを理解するために興味深いデータということが明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はIn-situ光照射-固体NMRを用いたコンフォメーション変化の解析を行い、機能発現機構の分子レベルでの理解を目指す。合わせて、重水素交換実験から、Tyrの交換割合を観測し、光活性化においてどのような反応が起きているのかを評価する。これには、横浜国立大学に設置されているBruker Avance III 600 MHz固体NMR分光器およびCMX-400 Infinity 固体NMR分光器の2台を使用して取り組む。さらに、領域内の研究者と協力して計算化学のアプローチを取り入れ、NMR情報による解釈を補完する計画である。また、領域内の研究者と共同研究を行い、ユニークな抗菌ペプチドを用いた細胞膜-タンパク質間相互作用を明らかにし、抗菌活性のメカニズムを理解する。
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