2015 Fiscal Year Annual Research Report
第一原理計算を用いた分子動力学法の開発と界面への応用
Publicly Offered Research
Project Area | Science on Function of Soft Molecular Systems by Cooperation of Theory and Experiment |
Project/Area Number |
26104522
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大戸 達彦 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (90717761)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 第一原理分子動力学法 / 気液界面 / 和周波発生分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
界面付近に存在する少数の分子の構造とダイナミクスを分子レベルで理解することで、より自在な浸透性や濡れ性の設計が可能になると期待される。全原子分子動力学(MD)シミュレーションは、物質の挙動を分子レベルで理解するための強力な手法である。原子間相互作用を古典力場で表現した古典MDシミュレーションが広く行われており、分子からなる系に対しては特に有効であるが、古典力場は質点としての原子同士の相互作用に基づいて構築されており、非局在化した電荷分布や方向性のある化学結合を表現しにくいという弱点がある。そこで、最小限のパラメータから様々な物質を計算することのできる第一原理計算MDシミュレーションが強く望まれる。本研究では浸透圧調節物質として重要なトリメチルアミンオキサイド(TMAO)と水の混合物の第一原理MDシミュレーションを行い、これまでの古典MDシミュレーションでは再現できていなかった、TMAOの酸素まわりに水素結合するOH伸縮振動ピークの赤方偏移を再現した。これは第一原理計算によって水素結合の方向性を記述することができるためであり、今後の古典力場構築の指針としても重要になる結果である。さらに、界面近傍の分子の振動を検出することのできる和周波発生(SFG)分光スペクトルをシミュレーションすることで、実験結果と照らし合わせながら界面での水の挙動を明らかにしてきた。限定されたトラジェクトリからもSFGスペクトルを計算できるよう、SFG応答関数に対応した表面選択的速度・速度相関関数とそれに基づいたSFGスペクトルの表式を導出した。この表式の有効性を実証した上で、水/空気界面の第一原理MDトラジェクトリからSFGスペクトルを計算し、最新の実験結果と一致する結果を得ることができた。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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