2014 Fiscal Year Annual Research Report
フォトン・アップコンバージョンを示すイオン液体の創出
Publicly Offered Research
Project Area | Science on Function of Soft Molecular Systems by Cooperation of Theory and Experiment |
Project/Area Number |
26104529
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
楊井 伸浩 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90649740)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | フォトン・アップコンバージョン / イオン液体 / 三重項 / 光誘起結晶化 |
Outline of Annual Research Achievements |
再生可能エネルギー創出に大きく貢献しうる光エネルギー変換技術であるフォトン・アップコンバージョンの発現において、これまでは分子の拡散・衝突によるエネルギー移動に依存してきたが、配列制御された分子集合の中をエネルギーが移動すれば、飛躍的な効率向上が望める。本研究では、液体材料の様々な特徴を活かして高効率なフォトン・アップコンバージョンを発現することを目的としている。中でも、液体であるにも関わらず特異な分子集合構造を形成しうるイオン液体に着目している。本年度は、アニオン性の色素分子を合成して柔軟なカチオン性分子と組み合わせることで、種々のイオン液体を合成した。イオン液体の構造を様々に変化させて検討を行ったところ、高い発光量子収率を示すイオン液体を合成することが出来た。三重項増感剤を加えることで、発光性イオン液体を用いてフォトン・アップコンバージョンを発現することに初めて成功した。また、種々のイオン液体を合成、評価していくなかで、光照射により結晶化するイオン液体を発見した。これは用いたアニオン性色素のアントラセン部位が二量化し、カウンターカチオンからプロトンを授与されて中性となって結晶化したことを明らかにした。すなわち、光二量化によりイオンを脱離することができるという興味深い現象である。この特徴を利用し、ライン状のフォトマスクを用いて光を照射したところ、そのマスク形状を反映した結晶のパターニングにも成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の目的である発光性イオン液体の系統的合成、および発光性イオン液体を用いたフォトン・アップコンバージョンの発現に初めて成功した。また、発光性イオン液体の系統的評価を行う中で、当初想定していなかった光誘起結晶化という興味深い現象を見出すことができた。これらの研究は今後の光機能性イオン液体材料の開発に重要な指針を与えると考えられる。以上より当初の計画以上に研究が進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はより低光強度で高効率なアップコンバージョンを発現するため、イオン液体の構造最適化を行う。更にイオン液体中で色素がどのような集合構造をしているかについても詳細に検討を行い、メカニズムの解明と現象の一般化を行う。
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Research Products
(13 results)