2015 Fiscal Year Annual Research Report
X線回折散乱実験と分子シミュレーションを用いた生体分子の動的構造の解析
Publicly Offered Research
Project Area | Science on Function of Soft Molecular Systems by Cooperation of Theory and Experiment |
Project/Area Number |
26104535
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
苙口 友隆 慶應義塾大学, 理工学部, 講師 (90589821)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 生体分子 / 動的構造 / 水和構造 / 分子動力学シミュレーション / 原子間力顕微鏡 / 溶液X線散乱 / マルチスケール構造サンプリング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、生体分子の機能とは、その構造が持つ柔らかさを応答関数とした外部刺激に対する応答と定義し、その作動原理を明らかにすることを目的としている。そのために、分子動力学(MD)シミュレーションと、溶液X線散乱(SAXS)や原子間力顕微鏡(AFM)といった実験を組み合わせることにより、定まった立体構造を持つ酵素のドメイン運動から、解けた構造で機能する天然変性蛋白質の機能的動きまで、様々な柔らかさの階層を持つ動的構造の可視化を行ってきた。 1.グルタミン酸脱水素酵素(GDH)の動的構造の解析 平成27年度においては、ドメイン運動を行う酵素の例としてGDHを対象として、MD及びAFMによりその作動原理を調べてきた。その結果、GDHは基質非結合状態において既に、基質を認識する動きであるドメイン間が閉じる運動を行っていることを明らかにした。また、MDトラジェクトリーの詳細な解析により、活性クレフトの奥にて起きる協同的な脱水和がドメイン運動を引き起こしていることを明らかにした。本年度は、シミュレーションから得られたドメイン運動のメカニズムを実験的に検証するために、活性クレフト奥の水和構造を変化させると予測されるアミノ酸残基変異を導入し、GDHの機能への影響を調べた。その結果、計算からの予測と一致した実験結果が得られた。これらの研究成果は、Scientific Reports誌に投稿し現在査読中である。さらにGDHの動的構造を、SAXSとMDシミュレーションを組み合わせた構造解析法(MD-SAXS法)によって解析し、実験SAXSデータをほぼ再現する結果が得られている。 2.天然変性蛋白質の動的構造の解析 昨年度は、MD-SAXS法を新しい構造サンプリング法であるマルチスケールMD法と組み合わせ発展させてきた。本年度は、新しく開発したMD-SAXS法を、天然変性蛋白質であるATP合成酵素F1-ATPaseのepsilon(TF1e)の機能的構造揺らぎの解析を行っている段階である。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(6 results)