2014 Fiscal Year Annual Research Report
軽い右巻きニュートリノの宇宙物理と実験検証
Publicly Offered Research
Project Area | Unification and Development of the Neutrino Science Frontier |
Project/Area Number |
26105508
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
淺賀 岳彦 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (70419993)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 素粒子理論 / ニュートリノ質量の起源 / 宇宙物質創成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題が目指す「軽い右巻きニュートリノ」の実験・観測による探索について研究を行った。第一の成果として、「軽い右巻きニュートリノ」が引き起こすK中間子崩壊におけるレプトンユニバーサリティの破れの大きさを評価し、今後の実験探索精度との比較を行った。その結果、J-PARCなどで行われる実験により理論の予言する破れを見出す可能性があることを示した。本結果については、査読付論文、および国際会議の招待講演では発表した。
第二の成果として、CERNのSPS加速器を用いたSHiP実験計画での「軽い右巻きニュートリノ」探索についても検討した。SHiP実験では、D中間子から生成される「軽い右巻きニュートリノ」の崩壊を探索する。我々は、SHiP実験で探れる物理をまとめた論文作成に携わった。特に、「軽い右巻きニュートリノ」の物理についての章を担当した。完成した論文は、eprint-arxivへ投稿した。
また、現在着手中の研究として以下の2つがある。(1)地球大気で生成された「軽い右巻きニュートリノ」の探索方法の確立。(2)SuperKEKB実験などの高エネルギー加速器実験での「軽い右巻きニュートリノ」探索方法の確立。これらのテーマについては、研究協力者の渡邊篤史氏、および新潟大学の大学院生と共同研究を実施している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度「軽い右巻きニュートリノ」が引き起こすK中間子崩壊におけるレプトンユニバーサリティの破れ、およびCERNにおけるSHiP実験計画での「軽い右巻きニュートリノ」探索についての成果を論文として発表できた点は、当初研究計画と比較すると順調に研究が進展している点として評価できる。
また、国内外の数多くの会議において招待講演などを行い、本研究成果を発表できた点は、本研究課題のもつ重要性を積極的に発信できた点として評価できる。
ただし、現在着手中の2つのプロジェクト(1)地球大気で生成された「軽い右巻きニュートリノ」の探索方法の確立。(2)SuperKEKB実験などの高エネルギー加速器実験での「軽い右巻きニュートリノ」探索方法の確立。については、研究に若干の遅れが生じ、年度内に論文として発表できなかったため、改善点としてあげられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、まず第一に、以下に示す現在着手中のプロジェクト2つを早急に完成し、論文として発表する。(1)地球大気で生成された「軽い右巻きニュートリノ」の探索方法の確立。本課題については、先行研究で見落とされていた大気中でのK中間子崩壊からの「軽い右巻きニュートリノ」の生成の効果を取り入れ、さらにハイパー神岡実験やIceCUBE実験での探索について検討する。(2)SuperKEKB実験などの高エネルギー加速器実験での「軽い右巻きニュートリノ」探索方法の確立。本課題については、B,D中間子やタウレプトンなどの崩壊から生成される「軽い右巻きニュートリノ」の検出方法を総括的に調査する。以上の結果をまとめることにより、「軽い右巻きニュートリノ」探索の最適方法を見出すことに挑戦する。
次なるステップとして、レプトンセクターにおけるCP対称性の破れと「軽い右巻きニュートリノ」の物理について研究を行う。特に、「軽い右巻きニュートリノ」のCP対称性の破れが宇宙バリオン数とどのような相関関係にあるのかを見出す。
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Remarks |
Review Paper (arXiv:1504.04855) "A facility to Search for Hidden Particles at the CERN SPS: the SHiP physics case", by S. Alekhin, W. Altmannshofer, T. Asaka et al (82 additional authors).
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