2014 Fiscal Year Annual Research Report
ハフニウム多層障壁層窒化物超伝導体トンネル接合検出器の開発
Publicly Offered Research
Project Area | Unification and Development of the Neutrino Science Frontier |
Project/Area Number |
26105511
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
赤池 宏之 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20273287)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 電子デバイス・機器 / 超伝導材料・素子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、Hfを用いた障壁層を持つ窒化物超伝導トンネル接合検出器の開発を行うことを目的としている。平成26年度は、窒化物超伝導材料としてNbTiNに着目し成膜条件の検討を進めた。NbTiNは検出器用超伝導材料としてNbNよりも抵抗率が小さく、より適した材料と考えられるからである。成膜方法として反応性スパッタリング法を用い、成膜条件の検討により臨界温度14.8Kまでの薄膜を得た。また、代表者がこれまで検討してきたプラズマ窒化AlNxトンネル障壁層を用いて接合を作製し、良好な接合特性を得ることに成功した。さらに、検出器の設計上必要となるNbTiN薄膜の抵抗率及び、磁場侵入長を評価した。 次に、Hf薄膜作成評価及び加工プロセスの検討を行った。本研究では、障壁層としてHf表面に形成したHf酸化膜を導入するが、Hf薄膜自体の特性が重要となる。成膜条件によりHf薄膜の電気的特性が大きく変化することがわかったが、接合作製に適した比較的小さな抵抗率を有する薄膜の成膜条件を見出すことができた。また、パターン加工においては、反応性イオンエッチングにかわり、新たにイオンミリングプロセスを導入した。 上記検討結果に基づき、Hf層を用いた接合作製プロセスを検討した。検出器応用においては良好な準粒子特性を実現する必要がある。接合加工時の損傷や再付着による接合両電極間のショートを防ぐため、陽極酸化を導入したプロセスを開発した。これにより、NbTiN/Hf/Al-AlNx/Hf/NbTiN接合及びNbTiN/Hf-HfOx/NbTiN接合を作製し、液体ヘリウム中での電気的特性を評価した。その結果、両接合において、超伝導エネルギーギャップを反映した準粒子トンネル特性を得ることができた。また、そのギャップ電圧の大きさから、Hfの常伝導コヒーレンス長が10-15nm程度であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新たに導入したNbTiNやHfの成膜・加工方法の検討や薄膜特性の制御が可能となった。さらにHf層を用いた超伝導トンネル接合作製プロセスを確立することができ、接合特性評価を進める段階まで到達したため。
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Strategy for Future Research Activity |
HfOxトンネル障壁層を形成する際に堆積するHf薄膜層の膜厚に着目し、そのトンネル接合特性への影響を評価する。それにより、検出器応用に適した接合作製に必要となるHf膜厚を決定する。さらに、HfOxトンネル障壁層の形成法として、通常の熱酸化法及びラジカル酸化法を用いたときの接合特性への影響や、トンネル障壁層上にHf薄膜を堆積させたときの効果を調べる。以上のことから、Hf障壁層接合の特徴を明らかにする。また、本トンネル接合を用いた検出器を設計・作製し、その性能評価を行う。
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