2014 Fiscal Year Annual Research Report
ニュートリノの質量階層と超新星ニュートリノ観測イベントに関する系統的研究
Publicly Offered Research
Project Area | Unification and Development of the Neutrino Science Frontier |
Project/Area Number |
26105515
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
鈴木 英之 東京理科大学, 理工学部, 教授 (90211987)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 超新星 / ニュートリノ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、超新星ニュートリノの数値計算結果から観測データを予測し,逆に観測データから超新星爆発の物理やニュートリノの質量階層に関する情報を引き出す可能性について、統計的な解析を用いた研究を行った。具体的な超新星ニュートリノのモデルとしては,Nakazato et al.による超新星ニュートリノデータベースを用いて,銀河中心で爆発した場合にスーパーカミオカンデで観測されるニュートリノイベント(観測される電子あるいは陽電子)の時間分布,エネルギー分布,角度分布を求めた。ニュートリノ振動の効果も二通りの質量階層について考慮した。特に,観測データの統計揺らぎを考慮するため,理論モデルから予想される観測イベント分布を用いたモンテカルロ計算を行い,観測イベントの平均エネルギーと前方集中度がどのように分布するのかを調べた。連携研究者の中里や大学院生を中心に解析を進めた結果,衝撃波が復活するタイミングでの平均エネルギーと前方集中度の時間変化の様子から,100ms程度の衝撃波復活時間の違いが識別可能であることなどを見出した。一方、ニュートリノの質量階層については、観測イベント分布に同タイミングで定性的な違いが現れるものの、統計誤差などを考慮すると識別は難しいことがわかった。今後は、他の段階に着目していく必要がある。 また、これらの超新星ニュートリノのモデルを計算するために必要となる高密度物質の状態方程式について、石塚らとの共同でデータベースを作成し公開した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
近傍超新星からのニュートリノを観測した場合のデータから得られる知見に関しては、連携研究者の中里や大学院生の谷貝を中心に統計解析が順調に進んだ。一方、超新星コア周辺におけるニュートリノ自己相互作用による集団振動に関する研究は、コード開発担当学生の体調不良により、コード開発が進まなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
近傍超新星からのニュートリノ観測に関する統計解析は、昨年度に引き続き連携研究者の中里と共同で進める。超新星までの距離の依存性や,よりモデルの識別に適した指標の検討などを行う。超新星コア周辺におけるニュートリノ自己相互作用による集団振動の研究に関しては、コード開発担当学生の体調が回復に向かっているが、さらに一名の大学院学生を担当に加えて、コード開発を進める。
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Research Products
(3 results)