2014 Fiscal Year Annual Research Report
メタルフリーな高選択的水素化反応を実現する新規不斉FLP触媒の開発
Publicly Offered Research
Project Area | Advanced Molecular Transformations by Organocatalysts |
Project/Area Number |
26105704
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
是永 敏伸 岩手大学, 工学部, 准教授 (70335579)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | メタルフリー / 不斉水素化 / ルイス酸 / ルイス塩基 / ホウ素化合物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本応募研究では、”Frustrated Lewis Pair”(FLP)を触媒として用いる事で、メタルフリーでの高エナンチオ選択的不斉水素化反応を実現する事を目的とする。FLPは嵩高いルイス酸と嵩高いルイス塩基から構成されるもので、水素分子を穏和に開裂しその結果不飽和結合を還元できるため、遷移金属触媒を使用しない水素化プロセスが可能となる。特に不斉水素化の例は数えるほどしかなく、実用的な不斉水素化には程遠い現状である。本研究では特に新規不斉ホウ素化合物を開発することで、合成的に有用な生成物を与えるN-ベンジルイミン基質の高エナンチオ選択的不斉水素化反応を達成することを目指して研究を行っている。平成26年度は、新規光学活性不斉ルイス酸の開発を行った。不斉ルイス酸としては、ビナフチル骨格を有する新規不斉ルイス酸の開発に成功した。しかしこの化合物をアキラルな嵩高いルイス塩基とともにFLP触媒としてN-ベンジルイミンの不斉水素化反応に用いたが、高いエナンチオ選択性は得られなかった。この原因は触媒の骨格であるビナフチル基の不斉識別能が低いためと予測できたため、ビナフチル骨格の3,3'位に嵩高い置換基を導入した新規不斉ルイス酸の合成を行った。年度内に3種類の新規不斉ルイス酸を合成することに成功したがこれらのルイス酸は極めて不安定であり、精製操作が困難であるため、現在検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
不斉ルイス酸の合成には成功したが、予想したよりも不安定な化合物であり、その精製に苦慮している。
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Strategy for Future Research Activity |
まず不安定なルイス酸の精製を成功させる。また、もし不斉ルイス酸の性能が悪かった場合には、新規不斉ルイス塩基を開発し、それとの組み合わせで高エナンチオ選択的水素化を狙う。
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