2014 Fiscal Year Annual Research Report
有機触媒及び遷移金属触媒を協奏的に利用した不斉プロパルギル位置換反応の開発
Publicly Offered Research
Project Area | Advanced Molecular Transformations by Organocatalysts |
Project/Area Number |
26105708
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西林 仁昭 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40282579)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 協奏触媒 / 有機触媒 / 金属触媒 / エナンチオ選択的反応 / リン酸 / ルテニウム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、新しい協奏的不斉合成反応の開発に関して、従来では適用出来なかった有機触媒として有効に働く光学活性リン酸誘導体を配位子部位に導入した硫黄架橋2核ルテニウム錯体を新しい設計・合成に成功し、この触媒を用いた時にのみ特異的にエナンチオ選択性が発現する触媒的プロパルギル位置換反応の開発に成功した。 具体的には、有機触媒として広く用いられているキラルリン酸アミドを架橋硫黄部位に導入したハイブリッド型硫黄架橋二核ルテニウム錯体を新たに設計・合成し、このハイブリッド型触媒を用いることによる不斉プロパルギル位置換反応の開発に成功した。本反応では、プロパルギルアルコールとルテニウム錯体との反応によって生成するアレニリデン錯体に対して、配位子のリン酸アミド部位との水素結合によって制御された求核剤が求核攻撃することによって不斉が誘起されている。今回、求核剤としてエンカルバメートを用いた不斉プロパルギル位アルキル化反応および求核剤としてアミドを用いた不斉プロパルギル位アミド化反応の開発に成功した。前者の反応については90%eeを超える高いエナンチオ選択性を達成することができたが、後者の反応では最高70%ee程度に留まった。 特に、求核剤としてエンカルバメートを用いた不斉プロパルギル位アルキル化反応の結果については、国際的にも高い評価を得ている化学専門雑誌であるAngew.Chem.誌に速報論文として既に報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究目標の一つである、従来では適用出来なかった有機触媒として有効に働く光学活性リン酸誘導体を配位子部位に導入した硫黄架橋2核ルテニウム錯体を新しい設計・合成に成功したため。不斉発現機構に関しても詳細な考察を行い、従来には見られなかった新しい概念でエナンチオ選択性が発現していることを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに見出した新しい知見を踏まえて、これまでに成功例が無い様々な求核試薬を用いたエナンチオ選択な触媒的プロパルギル位置換反応の開発を行う。既にアミドを窒素求核試薬として利用する事でプロパルギル位アミド化反応の開発に成功している。
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