2014 Fiscal Year Annual Research Report
不斉有機触媒を用いたラジカル付加反応の開発
Publicly Offered Research
Project Area | Advanced Molecular Transformations by Organocatalysts |
Project/Area Number |
26105717
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
矢島 知子 お茶の水女子大学, 大学院 人間文化創成科学研究科, 准教授 (10302994)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 有機合成化学 / 不斉合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
ラジカル反応は、イオン反応と比較してその開発が立ち遅れており、大きな可能性のある分野である。特に光によるラジカル反応は反応剤が必要なく、優れた手法といえるが、その例は多くない。我々はこれまで、紫外光を用いるペルフルオロアルキル化、アルキルラジカルの付加反応における不斉誘導に関する一連の研究を行ってきた。本研究では、これらの知見を基に、可視光反応への展開、不斉反応への展開を目指し、光有機触媒を用いるペルフルオロアルキル化、不斉触媒を用いる付加反応の二つの手法からのアプローチを行っている。光触媒化では、メチルナフタレンを触媒として用いることで、通常では光で開裂をおこさない臭化ペルフルオロアルキルを用いて付加反応が一電子移動を伴い進行することを見出した。アニオンが安定な中間体を生成する基質においては水素化-ペルフルオロアルキル化体が、カチオンが安定な基質ではヒドロキシ-ペルフルオロアルキル化が進行する。また、有機色素を用いることによって、可視光での付加反応が進行することも明らかとしている。今後、反応条件の最適化、基質の適用範囲の拡大について検討を行う。不斉触媒化では、α-メチレンエステルへのキラルリン触媒を用いた反応について検討を行っており、低いながらもエナンチオ選択性が観測されている。今後、更なる触媒の改良を行う。また、キラルなアミンを用いたエナミンへのペルフルオロアルキル化についても検討を行い、可視光照射下で反応が進行することを明らかにしている。今後、様々なキラルアミンを用い、エナンチオ選択性の向上を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
不斉有機触媒を用いたラジカル付加反応という点においては、未だ高いエナンチオ選択性は得られていないが、有機触媒を用いた、可視光ペルフルオロアルキル化を見出すなど、今後につながる大きな成果をあげていることから、おおむね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
光有機触媒を用いるペルフルオロアルキル化においては、メチルナフタレンを触媒とする紫外光を用いる反応では初期的な検討が終わっている。今後、論文化に向けて、基質の適用範囲を明らかにする。有機色素を用いる可視光の反応では、反応が進行することを明らかにしたところまでなので、より効率的な反応を目指して反応条件の検討、触媒の検討を行う。不斉触媒を用いる付加反応では、α-メチレンエステルへのアルキル化、エナミン法によるペルフルオロアルキル化のいずれも反応が進行することは明らかとしている。今後、不斉源の検討を行い、立体選択性の向上を目指す。
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Research Products
(22 results)