2014 Fiscal Year Annual Research Report
新規有機ニトロキシラジカル型酸化触媒の開発と神経栄養因子様活性天然物の合成
Publicly Offered Research
Project Area | Advanced Molecular Transformations by Organocatalysts |
Project/Area Number |
26105726
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
渋谷 正俊 名古屋大学, 創薬科学研究科, 講師 (40359534)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 酸化触媒 / 有機ニトロキシラジカル / 化学選択性 / 天然物合成 / セスキテルペノイド |
Outline of Annual Research Achievements |
神経栄養因子様活性を持つセコプレジザン型セスキテルペノイドをはじめとして,高度に酸素官能基化された構造を持つ化合物には,有用な生物活性を持つものが数多く知られている.目的のアルコールを化学選択的に酸化する手法は,このような化合物を効率的に合成するため強力な手法となる.本年度は,1,2-ジオールからαーヒドロキシカルボン酸への化学選択的手法の開発とセコプジザン型セスキテルペノイドの合成の基盤となるエンジインから5-6-5三環性シクロヘキサジエンへの分子内[2 + 2 + 2]環化付加反応の検討を行った.その結果,TEMPOを触媒とする1,2-ジオールからαーヒドロキシカルボン酸への高化学選択的酸化反応の開発に成功した.1,2-ジオールからαーヒドロキシカルボン酸への酸化反応は,これまで炭素ー炭素開裂反応や2位のアルコールの酸化等の副反応の抑制が難しいために一般的な手法は報告されていない.従って.本手法がはじめての一般性の高い1,2-ジオールからαーヒドロキシカルボン酸へのワンポット酸化反応である.また,セコプレジザン型セスキテルペノイドの合成では,最も強力な神経栄養因子様活性を有するジアジフェノリドの合成を目的として,エンジインからABC環部に相当する三環性シクロヘキサジエンへのルテニウム触媒[2 + 2 + 2]環化付加反応を確立した.さらに,本反応の進行に対する置換基の影響も調査し,今後の合成のための重要な知見を得た.合成した三環性シクロヘキサジエンをエポキシ化や一重項酸素とのディールス・アルダー反応に付したところ,立体選択的かつ高収率で反応が進行することが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画した研究のうち1,2-ジオールからヒドロキシカルボン酸への化学選択的酸化反応の開発に成功した.神経栄養因子様活性天然物セコプレジザン型セスキテルペノイドの合成においても,基盤となるABC環部の構築法の開発に成功した.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究では,1,2-ジオールからα-ヒドロキシカルボン酸への酸化反応を確立した.この研究の中で,反応基質や触媒の有機溶媒や水に対する溶解性も化学選択性に重要な役割を果たすことが明らかとなった.さらに有機ニトロキシラジカルは,酸化段階や反応条件に応じてその溶解性が多様に変化することが明らかとなった.従って,有機溶媒と水に対する親和性を,本年度開発するα-ヒドロキシカルボン酸からα-ケトカルボン酸への酸化反応の重要なファクターとして考慮し開発を進めていく.ジアジフェノリドの合成では,エンジインから5-6-5三環性シクロヘキサジエンへの[2 + 2 + 2]環化付加反応を確立し,核間位置換基は,酸素官能基化された置換基や比較的かさ高いものでも反応が進行することが明らかとなったので,迅速なDE環構築を可能とする置換基を持つ基質を用いて環化付加反応を検討し,対応する三環性シクロヘキサジエンを得る.また,得られる三環性シクロヘキサジエンから,本年度得られた修飾に関する知見を基にDE環構築ならびにジアジフェノリドの全合成を達成する.
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