2014 Fiscal Year Annual Research Report
光励起ケトンを活性化剤とする分子骨格への直接的官能基導入法の拡張と深化
Publicly Offered Research
Project Area | Advanced Molecular Transformations by Organocatalysts |
Project/Area Number |
26105741
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
上條 真 山口大学, 理工学研究科, 准教授 (00359548)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 合成化学 / 触媒・化学プロセス |
Outline of Annual Research Achievements |
光励起ケトンを活性化剤とする分子骨格への直接的官能基導入法の拡張と深化に取り組んだ。 C-H結合の置換型反応によるヘテロ原子を含む官能基導入法として、以下の2種類の反応開発に成功し、論文としてまとめ公表した。 (1) 環状エーテルの直接スルホニル化反応:硫黄原子を含む官能基であるスルホニル基の導入を可能とするC-H変換反応を実現した。導入されるスルホニル基の供給源はスルホニルクロリドであり、特に、5員環・6員環エーテルの修飾に有効である。酸素原子に隣接するC-H結合が化学選択的にスルホニル化され、対応するスルホンを与える。 (2)C-H結合のクロロ化を経由するエーテルの2工程官能基化法:汎用性が高く、柔軟な官能基導入を可能とする方法論の確立を目指し、2工程変換によるC-H官能基化法の開発に着手した。その結果、脱離性に優れたクロロ基のエーテル隣接位への導入と置換反応を組み合わせることで、酸素官能基・硫黄官能基・炭素ユニットといった多彩な官能基の導入を可能とするエーテルの新たな修飾法を確立した。 いずれの手法も光照射下、室温の穏やかな条件でC-H結合の置換が進行する効率的な反応である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光励起ケトンを活性化剤としたC-H結合の直接置換反応により、エーテルのスルホニル化およびC-H結合のクロロ化を経由するエーテルの2工程修飾法の新たな開発に成功したことに加え、論文としてまとめるには至っていないが、C-H結合の置換型反応による窒素官能基の導入や、C-H結合間への不飽和結合の挿入反応などを見出しており、着実に研究が進展しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、光励起ケトンを活性化剤とする分子骨格への直接的官能基導入法の拡張と深化に取り組む。 特に、以下の3点に注力し、研究を遂行する予定である。(1)C-H結合の置換型反応による窒素官能基の導入:基質適用限界を明らかにするとともに、反応機構の解明に向けた実験、さらには不斉化を目指した検討を試みる。 (2)不飽和結合に対するC-H結合の付加によるアルキル鎖伸長反応:反応条件の精査、基質適用範囲の解明および触媒化を目標とした反応機構の解明を行う。(3)酸化還元型反応の実現::C-H結合の切断を利用し、これまでと異なる反応形式の変換を探索する。
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