2014 Fiscal Year Annual Research Report
有機触媒によるエステル不斉加水分解および固体触媒との協同触媒の開発
Publicly Offered Research
Project Area | Advanced Molecular Transformations by Organocatalysts |
Project/Area Number |
26105744
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
徳永 信 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (40301767)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 不斉四級アンモニウム / 不斉四級ホスホニウム / 相間移動触媒 / キニン誘導体 / アミノ酸エステル / エノールエステル |
Outline of Annual Research Achievements |
当研究室では、シンコナアルカロイド由来の塩四級アンモニウムをキラル相間移動触媒として用いたアルケニルエステル類の加水分解的不斉プロトン化反応を高収率、高エナンチオ選択的に進行させることに成功している。また、N-保護アミノ酸エステル類にも応用し、キニジン由来の触媒を用いて77% eeの選択性で不斉塩基加水分解を行うことに成功している。しかし、得られるアミノ酸誘導体が非天然型である点と、選択性が十分でない問題点があった。今回の研究では、より活性が高く、また天然型のアミノ酸を得るためにキニン由来の四級アンモニウムの合成を試みた。ハロゲン化アリールとボロン酸とのカップリングで合成した様々な臭化ベンジル誘導体を用いて、新規の四級アンモニウム塩、約30種類を合成した。アミノ酸エステルの不斉加水分解において、最高で86% eeで天然型アミノ酸を得ることに成功した。また、一方、四級アンモニウム塩以外の新規触媒の開発にも取り組んだ。特に、不斉三級ホスフィンが入手容易であることに着目し、不斉四級ホスホニウムの合成と開発に取り組んだ。さらに、ここにチオウレア構造を組み込むことによって触媒の機能の拡張にとりくんだ。今回、約20種類の不斉四級ホスホニウム塩を合成し、エノールエステル類の不斉加水分解反応を行ったところ、83% eeの選択性をだすことに成功した。今後、反応機構、反応遷移状態、選択性発現機構などを明らかにすることによって、選択性、触媒活性の向上を達成する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで問題となっていたアミノ酸エステルの不斉加水分解で非天然型の生成物した得られない点や、四級アンモニウム以外に四級ホスホニウムで新たな触媒が開発できた点は計画通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
アミノ酸エステルの不斉加水分解や、四級ホスホニウム塩を用いた反応のさらなる展開のほかに、2-アリールプロパン酸エステルでの反応を進めたい。2-アリールプロパン酸エステルの不斉加水分解では、NSAIDS関連の生成物が得られるが、生成物は有用なものと逆のエナンチオマーである問題点があった。さらに、固体触媒とのハイブリッド型触媒の開発も進める。
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