2014 Fiscal Year Annual Research Report
不斉有機触媒反応を鍵工程とした生物活性アルカロイドの効率的全合成研究
Publicly Offered Research
Project Area | Advanced Molecular Transformations by Organocatalysts |
Project/Area Number |
26105750
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
石川 勇人 熊本大学, 自然科学研究科, 准教授 (80453827)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 不斉有機触媒 / アルカロイド / ドミノ反応 / Diels-Alder反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
天然より見出されたアルカロイド類には興味深い構造および生物活性を有するものが数多く報告されている。今回、合成標的とするのは多官能基化されたピペリジン環をもつアルカロイド群である。近年、不斉有機触媒反応は爆発的な進展を遂げている。特に最近では不斉有機触媒を鍵工程とした生物活性物質などの有用化合物の全合成が注目されている。また、反応系内に残存しても次の反応に影響しない有機触媒の特徴を利用したドミノ反応や、ワンポット反応が開発されている。我々は有機触媒を用いた不斉ドミノ反応を鍵工程とした光学活性ピペリジンアルカロイドの全合成研究を行った。アルキル側鎖を有するα、βー不飽和アルデヒドとチオマロナメートを基質としたドミノ不斉マイケル/ヘミアミナール化反応をジフェニルプロリノールシリルエーテル触媒存在下行い、光学活性多置換ピペリジン環の合成に成功した。本反応はわずか0.1モル%の触媒で高い収率、光学純度で目的化合物を得ることができる。開発した反応を利用し、ニコチン様作用が報告されている二環性ピペリジンアルカロイドαースキタンチンの9段階全合成を達成した。これまでの合成例と比べて極めて簡便で効率良くαースキタンチンを得ることができる。また、生物活性リコポジウムアルカロイド類の効率的全合成のために、光学活性ピペリジン環を含むデカヒドロキノリン骨格構築法の開発を行った。その結果、独自に開発したシスヒドロキシプロリン誘導体を触媒とするジヒドロピリドン誘導体とα、β、γ、δー不飽和アルデヒドの不斉Diels-Alder反応を見出した。本反応で得られる化合物群の立体は天然物の立体と一致しており、今後の天然物への誘導に大きな期待が持てる結果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本提案では1年目に天然物合成の鍵となる反応を独自に開発し、2年目に全合成を展開する予定で研究を進めた。結果として、1年で目的とする鍵反応を2種開発することに成功し、さらに、一つの天然物の全合成を達成できた。また、鍵反応の不斉収率および反応効率が極めて高いため、2年目の全合成の加速が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
1年目で開発した独自の不斉有機触媒反応を駆使して、価値のある天然物の全合成を達成する。すでに、3つの天然物全合成が進んでおり、順調に進行している。本年度中に目的天然物まで誘導し、共同研究により生物活性試験等を行う。
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Research Products
(8 results)