2014 Fiscal Year Annual Research Report
キラル二官能性有機分子触媒によるカルボン酸誘導体α位でのC-C結合形成反応の開発
Publicly Offered Research
Project Area | Advanced Molecular Transformations by Organocatalysts |
Project/Area Number |
26105753
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
御前 智則 兵庫県立大学, 物質理学研究科, 助教 (00411786)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 合成有機化学 / 有機分子触媒 / 不斉合成 / 不斉反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
求核剤基質としてα-ホルミルチオエステルを用いるビニルケトン類への共役付加反応の開発に成功し、様々な骨格の基質への適用も可能であることを確認した。種々の骨格を持つ基質や、官能基を持つ基質など、多くの基質で高いエナンチオ選択性(85~96% ee)で反応が進行する。また得られる付加体の誘導化も検討し、Horner-Wadsworth-Emmons反応や、エステル交換反応、また分子内アルドール縮合による6員環形成反応も光学純度を損なうことなく行うことが可能である事が分かった。これら誘導化反応による生成物はいずれも従来構築が困難なキラル4級炭素を持つ化合物であり、医薬や生理活性天然物などの合成への応用が期待される。実際、天然物アルカロイドの形式合成にも成功した。 α-位に活性化基を持たないカルボン酸誘導体の付加反応の開発を目指し、種々のカルボニル化合物のα-位での共役付加反応の検討を行った。その結果、グアニジンとウレア基を持つ二官能性触媒を新たに開発し用いると、幾つかのカルボニル化合物のエチレンマロネートへの共役付加反応がエナンチオ選択的に進行することを見出した。α-ケトエステルの付加反応では、比較的高いエナンチオ選択性(80% ee)で反応が進行することが分かった。また、カルボン酸誘導体としてN-スルホンイミデートを求核剤として用いた場合も反応が進行したが、エナンチオ選択性は8% ee程度であった。活性メチレンにジハロを導入したβ-ケトエステルを求核剤として用いるとケトンのα-位での共役付加反応が進行し目的物を33% eeで与える事が分かった。類似の活性メチレンにジハロを導入したα-スルホンケトンを用いた場合にもケトンのα-位での共役付加反応が進行し目的物を61% eeで与える事が分かった。今後、反応条件及び触媒の検討を行いエナンチオ選択性を高める計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
α-位に活性化基を持たないカルボン酸誘導体の付加反応の開発を目指し、種々のカルボニル化合物のα-位での共役付加反応の検討を行い、かなり有望な求核剤基質及び、触媒を見出すことに成功した。尚この求核剤基質は反応後の誘導化についても十分考慮した形になっている。
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Strategy for Future Research Activity |
かなり有望な求核剤基質及び、触媒を見出すことに成功しているが、エナンチオ選択性がやや不十分であるため、この点を触媒の骨格を検討することで高める必要がある。また、反応後の誘導化についても十分考慮した構造の求核剤基質を選択しているが、現時点では未確認であるため、実際に誘導化を行って誘導化が容易であることを証明する必要がある。
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Research Products
(12 results)