2014 Fiscal Year Annual Research Report
高性能アミン触媒システムの開発
Publicly Offered Research
Project Area | Advanced Molecular Transformations by Organocatalysts |
Project/Area Number |
26105757
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Research Institution | Okinawa Institute of Science and Technology Graduate University |
Principal Investigator |
田中 富士枝 沖縄科学技術大学院大学, 生体制御分子創製化学ユニット, 准教授 (50260203)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 有機分子触媒 / 有機合成 / 合成化学 / 不斉合成 / エナミン / アミン / 環化反応 / スピロ化合物 |
Outline of Annual Research Achievements |
医薬や診断薬、生命機能解明に用いる探索子など、機能を有する分子を開発、創製するためには、意図する有機分子を自在に合成できるようになることが重要である。特に、医薬などの開発では、一つの最適分子に到達するまで、多様な分子を検討する必要がある。一連の多様な分子を、穏和な条件下、安全に、高効率的に、選択的に合成することを可能にする方法の開発への需要は著しく高い。本課題では、これらの需要に応えるための反応として、アミンを触媒とする有機分子触媒反応を提案し、関連する反応や触媒の開発、また、それらの開発の基礎となる知見を用意すること目的とし、研究を実施した。特に、最近開発した反応システム、および、そのアミン触媒システムについて、生成物を与える反応機構、および、反応加速や立体化学の制御の機構を実験により明らかにすること、また、それらをふまえ、反応システムを改良、拡張し、また、新規に開発することを検討した。 1.不斉ヘテロディールスアルダー反応の開発:最近開発した、エノンとイサチンからスピロオキシインドール構造を有するテトラヒドロピラノン誘導体を合成する不斉ヘテロディールスアルダー反応について、反応加速のための触媒システムの用件や、反応経路、立体選択性の制御の機構等について検討した。また、本反応を、他の反応基質を用い行なうことができるよう検討した。 2.ピルビン酸エステルの反応性を活用する官能基化された分子の合成反応法の開発:ピルビン酸エステルを直接求核剤とし、官能基化されたジヒドロピラン誘導体をワンポットで合成する反応法を開発した。また、本反応の生成物は、さらなる分子変換により、多様な分子に変換できることを示した。 3.アミン塩基を触媒とする迅速なアルドール反応:アミン塩基を触媒とし、穏和な条件下、短時間で生成物を得ることができるアルドール反応法を開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
不斉ヘテロディールスアルダー反応については、これまでに、酸添加物量の反応速度や立体選択性への影響、生成物の触媒存在下での安定性等などを調べることにより、触媒反応の経路や、立体選択性発現の機構に関する知見を得ている。これらは、本反応の理解と共に、今後の触媒システム設計や反応設計に有用である。また、ピルビン酸エステルを直接求核剤とする反応は、通常困難であると知られているが、触媒を検討することにより達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
不斉ヘテロディールスアルダー反応については、ジエノファイルとして幅広い基質を用い、意図する生成物を与えることができるように検討する。目的生成物を得るためには、基質の反応性に応じ、適切な触媒システムを開発することが必要であると考えられる。意図する反応を進行させるための反応の制御、また、そのための適切な触媒設計を、論理的に行なうことができるようにすることに繋がるように検討する。これらにより、より優れた触媒設計、触媒開発を可能にする研究を推進する。
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Research Products
(22 results)