2014 Fiscal Year Annual Research Report
酸化物表面における特異なナノ構造の超高分解能STM測定
Publicly Offered Research
Project Area | Exploration of nanostructure-property relationships for materials innovation |
Project/Area Number |
26106502
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
一杉 太郎 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 准教授 (90372416)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 酸化物 / SrVO3 / 走査トンネル顕微鏡 / STM / 表面 |
Outline of Annual Research Achievements |
酸化物薄膜の原子レベルでの電子状態計測は、機能性酸化物の表面/界面設計に向けて極めて重要な知見を与える。本研究ではSrVO3薄膜に着眼し、走査トンネル顕微鏡(STM)を用いて結晶表面原子配列の可視化と、原子分解能での電子状態計測を行った。 その結果、SrVO3表面における特徴的な原子配列の観測と共に、電子同士の量子力学的な干渉によって引き起こされる定在波を観測することに成功した。単純ぺロブスカイト酸化物薄膜の表面では始めてのSTMによる定在波の観測である。
SrTiO3(001)基板上にSrVO3(001)エピタキシャル薄膜を作製したものを試料として用いた。成膜はパルスレーザー堆積法(PLD)により行った(基板温度~800℃、~5*10-8Torr)。薄膜表面のSTM像には原子サイズ程度の周期的な輝点が認められ、コンダクタンス像のフーリエ変換には特徴的な散乱ベクトルq*を明確に観測することができた。角度分解光電子分光によって報告されている分散関係と比較することにより、このq*が表面定在波を示すことがわかった。 これは、3次元的なペロブスカイトであるにもかかわらず、表面上に二次元電子系が形成していることを意味している。非常に可干渉性の高い電子系の存在に驚く。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SrVO3の原子観察に初めて成功しているため、概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
二次元電子系の起源を今後、第一原理計算グループと共に解明していく予定である。さらに、既報の光電子分光の結果と対応させて議論を深める。 また、本年度は、LiTi2O4など別の物質系について、原子観察を試みる。この物質についてはすでに薄膜作製条件の検討を済ませており、すぐに成膜することが可能である。 しかし、原子レベルで平坦なLiTi2O4薄膜を得るには、アニール条件等の成膜条件のさらなる調整が必要である。
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